2.商店街巡り








「ごめんなさいね、我が儘言って」

「いいよ、いいよ!嫌じゃないし結構楽しいから!」

小さく謝罪をすれば、明るく嫌じゃないと返され少し安堵する。
これからどうするか一緒に考えたが、きっと此処から見える大きなビル…そこに行けば人や手掛かりがあるんじゃないかという結論になった。(大きなビルがあるくらいだし此処より人が居そうな気がする)
でも、その前にこの商店街を見て回りたかったのだ。それをジェイは許可してくれ一緒に行ってくれると言う。…ほんとおかしな方。

先程いた帽子屋を後にし他の店へ。とりあえず帽子は返しておいた(似合うのに残念だけど)。
ふと目に入った店に近寄る。パン屋。そういえばこの世界に来てから何も食べていないのを思い出し少しお腹が空いてきた。

「あ、葬歌ちゃん!その店入るの?」

「えぇ」

別の所を見ていたジェイが近寄り問いかける。それに頷き一緒にパン屋へ。中は美味しそうなパン…の形だが色は全部赤と黒。

「これ…パンだよね…?」

「そうじゃないかしら。はい」

種類別に並んでいるパンの中から一つを手に取りジェイに渡す。

「あ、あの、葬歌サン…?」

「美味しそうなメロンパンでしょう?」

真っ赤だけど。ジェイの明るい笑顔が引きつった笑みに変わる。そしてじっと見る私と、渡されたメロンパンを交互に見てから決心したようにメロンパンをかじる。

「……お、美味しい」

「まぁ!」

ジェイの言葉に私もパン…真っ黒なクロワッサンを手に取り口に運ぶ。美味しい…!
一緒にパンを食べてる時ふと気付いた事があり、「あっ」と声を出すとジェイが不思議そうに私を見る。

「これってお金払わないと駄目なのかしら?」

沈黙。ちなみに私は一文無し。
こうなったら…

「逃げましょう」

「うん……って、ええぇぇ!?」

無理矢理ジェイの手を取り走り出す。これって食い逃げというものなのだろうか?彼には申し訳ないけど凄く楽しい気分。

「あ、あの店燃やせば良かったのかしら?証拠隠滅?」

「いやいやいやいや!!それは駄目だよ葬歌ちゃん!!」

真面目に言ったら全力で否定されてしまった。何故焦りながら言っているのかしら?可笑しな方ね。




さて、次は何処に行こうかしら?


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