1.素敵な世界へ








「……何?何処かしら、此処」


ぽつりと呟いた言葉に返事はなく、すぐに静寂が訪れる。

どうやら監獄ではないようだ。それがわかるだけで、ぱあぁっと心が晴れる。
…でも、此処来てから覚えている事は"無罪なのに監獄にいる事"。つまりこれは別世界か何かだろう。現実離れしていると言われればそうだが葬歌はそれを気にせず、ただ、今監獄にいないという事が嬉しかった。

「ふふ、全部赤と黒の不思議な街!綺麗…私こんなの初めて見たわっ」

誰に言うでもなく無邪気な楽しそうな声を出す。

「あれはお店…かしら…?あ、向こうにもあるのね!」

あちこちにキラキラした目を向け歩く。
だがそれから数歩歩くと足を止め俯く。先程と変わり表情は暗く目は濁っているように見える。




「………ずっと此処にいられたらいいのに」


それだけ呟くといつもの顔に戻り歩き出した。

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