めぐりあわせ | ナノ




「さいあく、だ」

友達と撮ったプリクラを落としてしまった。おかしいな。財布に入れておいたはずなのに。いったいどこで落としちゃったんだろう…。誰かに拾われちゃった…?悪用されないよね…?悪用されちゃったらどうしよう。どっかの掲示板に、この女きもくね?なんて書かれてたら最悪だ。そうなる前に見つけ出したい

結局、プリクラは見つかることもなく、仕方ないから友達のプリクラを一列分けてもらうことになった。だけど、あたしは消えたプリクラの行方が気になって、その日はずっと頭の中はプリクラのことでいっぱいだった。

「ねえ」

それはもう奇跡というかなんというか、あの不二くんから声をかけてもらうことになるとは思わなくって。本当にめずらしいことだから、あたしはつい舞い上がってかなりのぶりっ子を装ってしまった

「えっ……不二くん、な、なにか用かな…?」
「じつは、これ見つけちゃったんだけど」

だがその嘘の笑顔は偽りのない恐怖へと変わっていった。なんと不二くんが手に持っていたのは、あたしが無くしたはずのプリクラ。ひらひらと不二くんの手元で踊ってらっしゃる

「それ、あたしの…!」
「うん、だと思って。困ってるみたいだしね」

まさか不二くん。あたしのためにわざわざ届けにきてくれたんだ…。わあ、さすが噂に違わず優しいんだな…!あたしは一気に顔の緊張が解けて、不二くんにありがとうの言葉をかける。そしてプリクラを返してもらおうと手を出すが、不二くんの手には依然としてあたしのプリクラが握られたまま

「まさか。こんな面白い玩具をただで返すなんて思った?」

…………………………。

え、誰この人。え、不二くんから有らぬ言葉を聞いたような…。表情は何一つ変わってはないけど、なんというか、声が1トーン落ちたような気がしたんですが。それは私の気のせい…ではないみたいです

「君って見かけによらず変顔とかするんだね。普段はそんなキャラじゃないと思ってたけど、この変顔のクオリティは決して真似できるようなものじゃないな。クラスのみんなが見たらなんて言うだろうね…」

…まさか返さないつもりでいるの不二くん…!?え。この人そんな腹の中真っ黒だったの…?どうしよう、あたしの中の不二くんのキャラが崩壊を始めています

「返してほしかったら…そうだな、ちょうど喉が渇いたから、ウーロン茶買ってきて。1分で買ってこなかったらこのプリクラ晒すから、よろしくね」

まさか…………こんな悪魔だったとは………。

2011/10/02
いたずら好きの不二くん。オチがわかんない 終われ\(^o^)/