青春を部活に捧げる | ナノ





「なんか、なに言ってるかわかんないんだけどあの人たち!」
「早口だもんね〜」

英二先輩とテカメガネ先輩の試合を見ています。テカメガネ先輩と戦っているヤナギさんは、テカメガネ先輩と同じデータテニスをやるもんだから、お互い早口になってんだよね。データ追いついてんのかなあの人たち

そうかと思えばテカメガネ先輩はデータを捨てちゃったもんだから、制御不能になって暴走しちゃったんだよね。あーあ、データ捨てるとあんなになっちゃうのか。テカメガネ先輩。もしかしてデータ捨てたほうが強いんじゃね?


「データを捨てた乾って、愛子ちゃんのテニスみたいだよね」
「ぶっ」

おい誰だそこでふいたやつ。お前か越前コラ

「タカ先輩、どういう意味ですか」
「いやいや、ほめてるんだよ。だって常にボールを追いかけてるじゃない?」
「あたしは犬かなんかですか」
「あっはは!それうける〜!」

英二先輩はあたしを見て大爆笑。頭オレンジ頭に言われたわんちゃんという言葉を思い出した。結局あたしは青学の犬か

「でもそれっていいことだよ。あんなに無我夢中にボールを追いかけることって、テニスにおいては大切なことだし」
「ま、ね〜。でも俺愛子ちゃんのテニス見たこと無いや。大体想像はつくけど〜」

「猪突猛進って感じっすよ。強いて言えば桃先輩みたいな」
「越前、どういう意味だそりゃ」
「たとえっすよ、たとえ」
「あたしに対しては?」
「どんまい」

あああもう。猪突猛進ですよ。ああそうですよ!桃ちゃんと同盟組んでやりますよ!テニス始めたときからボールを無駄に追いかけることが大好きだから、ついたあだ名が「猛犬」ですよ。どういうことだよ。ただの犬から昇格だよ


「…テカメガネ先輩の場合は、前の試合と同じようにするために点を稼いだ結果ああなったんですよ」
「あんたは常にじゃん」

だああちくしょー!なんか最近また越前くんが生意気になってきました。ということで、あたしも越前くんをぎゃふんと言わせようと思います

「テカメガネ先輩ってメガネ取ったら乾先輩だよね〜」
「……………え、なにもう一回言って」

それ以前にあたしの日本語がおかしいのか!?

「通訳をするとね、乾先輩はメガネを取ったら目が綺麗だよね〜ってことらしいよ」
「……………だから?」

カチローくんに通訳をしてもらったけど、それ以降は越前くんの理解力がいけないんだ!


「そういえばあたしテカメガネ先輩のこと乾先輩ってほとんど呼んだことないや」
「なんの情報?」
「そうだ!今回青学が勝ったら名前呼びにしてあげよっか〜?」
「意味わかんないんだけど」
「だってさ〜越前くんだったらさ、おじ様も越前くんだからかぶっちゃうよ?」
「………………」
「まあここでテカメガネ先輩が負けちゃったらそこで終わりなんだけどさ〜…」


「がんばれ乾先輩!」


…………え?まじで?


「…どうしたの越前くん」
「………いや、青学が負けるのは嫌だからさ」

…嘘だ!絶対嘘だ!あたしに名前で呼んで欲しいんだ!絶対そうだ!え、ほんとに?


「…越前!」
「な、なんすか大石先輩…」
「俺は、感動した!そんなに青学の優勝を心から願っていたなんて!」

そういうと大石先輩は越前くんにハグをした。大石先輩、熱いなあ…。越前くんめっちゃ嫌がってる。でもなんだろうこの複雑な気持ちは、うふふ

2011/1/14