青春を部活に捧げる | ナノ



「ほんとに先生が送ってくれるんですか!」
「ああ。青学の部員を怪我させた侘びだ」
「やったー!やったね越前くん!走って帰らなくて済むよ!」

あたしは寝ている越前くんの頭をがしがし叩いた。けが人に容赦ねーなと赤い髪の人は言う

「たしかに怪我人のこいつは送っていくと行ったが、お前は走って帰ってもいいんだぞ」
「ふーんだ。そんなこと言っても無駄ですよ先生。あたしと越前くんは一心同体なんですから」
「お前ら付き合ってんのか!」
「付き合ってません」
「…よう分からんやつじゃのう」

あたしは先生のお家の車に越前くんを乗せて、自分も車に乗ろうとした。だけど途中でミキさんの姿が見えたので挨拶をしにいった。ちょうど先生もミキさんと話しをしてるとこだった


「えっと…ミキさん!」
「あ。…上原さん」
「あ。愛子でいいですよ」
「む。ミキ、知り合いになったのか?」
「うん。さっきね」

「ミキさん…また、会えますよね?」
「もちろん。だって青学のマネージャーでしょ?」
「あ…ちょっとちがうんですけど…」
「でも試合には来るんだよね?」
「は、はい!行きます!」

じゃあそのときまた話そうと、ミキさんはあたしに笑顔をくれた。き、綺麗な

「ミキ、お前一人で帰るのか?」
「うん」
「送っていく」
「いいよ。あたしは。迷惑かけちゃうし」
「む…そうか」

すごいなあ…。マネージャーとなるとテニス部の人たちから心配されるようになるなんて。あたしなんてさ…お金ないから走って帰るだけなのにさ

ミキさんはあたしと先生にお別れをして一人で帰っていった。あたしも、あんな綺麗でみんなから慕われる人になりたいなあ…






「…………」
「…………」
「…………」

し、静か〜…。車内は車が走る音しか聞こえなくて、まあ要は誰も話さないわけで。先生は元から静かそうな人だから運転していらっしゃる先生のお父さんもきっと静かな人なんだろうな。…ていうか、ぶちょーと少し似てるんだよねこの人たち

「えっと…わざわざ東京まで送っていただけてありがとうございます」
「いや、気にすることは無い。弦一郎の部員が迷惑をかけたようだからな」
「いえ、こちらこそすみません」
「む。なぜお前が謝る?」
「あ、いえ。すみません」

こわいよー。先生一人ならまだしも、W先生だとなんか気疲れしてしまうよ。はあ。こんなとき越前くんが起きていればねー…。だめだこの子寝ちゃってるし

それにしても越前くんの寝顔っていつ見ても天使だなあ…。前に見たときも誰か分かんないくらいだったし。あたしはいつのまにかまた越前くんの寝顔に見とれてしまって、そして走って疲れたのかいつのまにか眠ってしまっていた












「あれ?ここどこ」

目が覚めると、あたしは布団の中で寝ていて寝巻きも着せられていた。それはあたしの布団や寝巻きじゃなくて、全然知らない人のものだった。ていうかどこここ


「あ。愛子ちゃん起きた?」
「あっ、菜々子さん!?」

菜々子さんがいることでわかった。ここ、越前くん家だ。あー…やっぱり寝てたんだあたし…。先生にちゃんとお礼いえなかったな…。まあまた今度言いにいこっか。はあ…









越前くん家!!?

2010/12/30