青春を部活に捧げる | ナノ




「……じゃこさんなんでそんな時計見てるんですか?もしかしてせっかち…?」
「ちげーよ!計ってんだよ赤也の試合時間を」

じゃこさんが言うには赤也さんは試合を終えるのが速いらしく、大会最速記録を出してるらしい。14分って速いのか…?

「お前もテニスやってんだろ?そんくらい知らねーのか」
「だってあたしテニス部暦半年ですよ?アウトっていうのもなんだかわかんなかったし」
「終わってるなお前」
「よく言われます」

無能といわれようが阿呆といわれようがそれが上原愛子です。じゃこさん、そこは覚えておかないとこの先やってけませんよ

「でも、赤也さんて実際強いんですか?」
「言ったろ?大会最速記録を出すほどの奴だから、そこそこは強えよ」
「んへー。でもあの人青学で迷子になってましたよ」
「お前も、柳から聞いたら迷子率89%らしいぜ」
「まじっすか」

くそっ、ヤナギさん恐るべし!ていうかそんな情報なんで知ってんだ!テニスと全然関係なくね?女子の情報知ったところでどうでもよくね?

「それが柳だ」
「…左様ですか」



「…こんな試合してんのに、お前は意外と冷静だな」
「あ、それよく言われるんですよ。なんで越前くんのときの試合はそんなに冷静なのかって」
「…ていうかほんとに付き合ってねーのか?」
「付き合ってません」
「そーか。ここまで走ってくる奴らだからさぼってデートでもしてんのかと思ったぜ」
「残念ながらそんな理由じゃ越前くん動かないんですねー。馬鹿だから。あの人テニス馬鹿だから」

「お前、越前リョーマのこと好きなのか」

………は、はああっ?いきなりなんですかじゃこさん!なんでそういうことになった?!え。あたしじゃこさんになにか言ったっけ?


「なんで、そう思うんですか」
「いや、なんとなくだけどよ。違うならいいんだ。ただ、ここまで一緒に走ってくるのはどうもおかしいと思ってな」

いや、ここに来たのは偶然というか複雑な成り行きで来てしまったんですけどね


「……越前くんのことは、親しいとは思いますけど、恋とかそんなんじゃないんですよね。越前くんも、あたしのことそんな好きではないみたいですし。ていうか、ふられましたし」
「…そりゃどんまいだな」
「たぶん越前くんはテニス馬鹿だから、テニスのことしか考えてないから、あたしのこと見れてないだけなんだと思うんですけどね」

今はテニスだけを追いかけてる越前くんだから、きっとテニスを取らない限り、あたしのことは眼中にないんだと思う

でもあたしは…そんな越前くんが



「そんな越前くんだから好きになったんです」


小さく、つぶやいた

2010/12/8