青春を部活に捧げる | ナノ




大石先輩に宣告されてしょうがなく走っていた。くそう。周りの視線が痛い。こんな汗だくでこんな苦しい顔してたら誰もが気にかけてしまうのだろう。それより、越前くんはいないだろうか。走りながら越前くんを探してるけど周りは人だかりであの白い帽子が特徴の男子は見えない

そんなとき、一番人だかりの場所を見つけた。あれは、不動峰と立海の試合だ…。ちょうど切原さんと杏ちゃんさんのお兄さんが試合していた。結果は…6−1?


「………」

あ。越前くんもいた。ちょうどあたしが見ていた場所の少し離れたとこにいた。あたしは越前くんのところに走っていこうとしたけど、あたしは足を止めた

立海大附属の人たちがぞろぞろと歩いてきてその雰囲気に飲み込まれてしまった


「あ、先生」
「む。お前は…上原か」
「どうも」
「どうだ、青学は」
「順調ですよ」

あたしは先生と話ししていたらヤナギさんが「弦一郎、そろそろ行くぞ」と呼ばれて先生はあたしに「青学には完膚なきまでに倒すと言っておいてくれ」と伝言をもらい立海の人たちと別れた


「………あ」
「…………」

立海の人たちがいなくなったことであたしの姿があらわになってしまったから、越前くんにあたしの居場所がばれてしまった。相変わらず越前くんはなにも話さず、あたしを見るなりやっぱり逃げてしまった

…このままじゃ、あたしの心がずたずたでそろそろ粉砕してしまう勢いなので、あたしは越前くんを全速力で追いかけた

するとあろうことか越前くんも全速力で逃げ出した。な、何で逃げるの!?あたしはここまで走ってくるのにもしんどかったのに疾走するもんだからあたしはついに盛大にずっこけてしまった


「………なんでぇ、にげるの」

六角のオジイさんみたいになってしまった




結局、越前くんは捕まえることができずにあたしは青学のコートに戻ってきた。すると海堂先輩はバンダナをヘアバンみたいにしていた。なぜかバンダナは赤く染まっていて血を流しているんだということが分かった

「か、海堂先輩…まさか、棄権!?」
「ばーか。勝ったんだよ」

桃ちゃんが教えてくれて、あたしはほっと胸をなでおろした。よかった。これであたしは葵くんと付き合うこともなくなる。すぐに越前くんに教えなきゃと辺りを見回していたけど越前くんはまだ帰ってないことに気がついた

あたしは越前くんが帰るのを待たずに六角のほうへ走っていった



「葵くん!」
「あっ、愛子ちゃん!!」

「なになに?ついに剣太郎にも彼女ができたのかい?」
「えへっ、そんなんじゃないよ〜サエさん!この子は、青学の上原愛子ちゃん」

…サエさん?この人が?あ。そういえばこの人えーじ先輩と追いかけっこしてた人だ


「クスクス、剣太郎も隅に置けないね」
「こんな可愛い子を手に入れるなんてな!」

「えへへ……。で、愛子ちゃん、何の用かな?」

「撤回、しにきました」
「撤回?」

「六角も葵くんも負けたんで、あたしと付き合うって約束はなしです。ごめんなさい」

あたしはやっぱり、越前くんが気になるようなので

2010/11/15