青春を部活に捧げる | ナノ



とりあえず逃げた。葵くんは悪い人ではないだろうと思うんだけど、けっこうしつこい人だということは十分にわかったからたぶんその賭けも撤回してくれないだろう。こうなれば越前くんたちが次の六角に勝つしかない!

…とりあえずがむしゃらに逃げてきたもんだから青学がいる場所がどこにいるのかわからなくなってしまった。あれ?これは前にもあったような…

……とりあえず、この子どもたちはなんなんだろう


「お前、誰だ」
「え、ああ、はい。はじめまして」

「なんだこいつ。六角にこんな女いたっけ?」
「さあな。サエさんの追っかけかなんかじゃね?」
(サエさんって誰だ)

とりあえず、勘違いされていることには違いないみたい。…あれ?六角?


「君たち、六角の応援しにきたの?」
「そうだよ。ってお前もそうじゃねーの?」
「あたしは青学の応援に来て…」
「じゃあ敵じゃん!ほらあっち行け!青学は敵だ!」
「えええ、あの、青学がどこにいるか知りたいんだけど!」

「お前いい年して迷子かよ!だっせー!」
「う、う、うっせー!」

なんか調子狂う!六角の子はあたし苦手なのかな。さっきから押されまくっている…。とりあえず(自称)次期六角を担う子たちに青学の場所を教えてもらってようやく…うん、ほんとようやく青学のいるところまでたどりついた。くっそー…あいつらわざと道間違えて教えやがったな…。たどりつくまでどんだけ苦労したことか…



「うわーもう試合始まってたー…」
「愛子。あんたまた迷子になってたの」
「うえーん、ゆーちゃんせんぱーい!ひどいんですよ!ひどいんですよ!越前くんはあたしを置いていくし、変な人には絡まれるし、小学生には間違った道教えられるし」

「ざまあないわね上原愛子!」
「うえーん、朋ちゃんがひどいー」
「だから馴れ馴れしく呼ぶなって言ってんでしょー!」
「まあまあ朋ちゃん…」

「それもこれも…越前くんが悪いんでしょ!越前くんが置いていかなかったらこんなことにはならなかったのに!」
「…………………」
「越前くんが……」
「…………………」
(……シカトぉぉ!?)

まじでか。初めてシカト?いや、最近はなにかするとすぐ反応が返ってきたから調子のってたんだなあたし…。越前くんにシカトされるのはべつに珍しいことじゃないし…


「あ、あれあたしも越前くんにやられた!ね、やったよね?越前くん」

越前くんから目線をはずしてコートに移すと短髪の人がパーマっぽい人に両手ではさまれていたからあたしは無理やり話を振ったけど全然しかと。くっそなんでだよ!あたしなにかしたか!?




「リョーマ様、上原愛子のこと見てすらいないわね」
「…なにかあったのかな」
「チャンスよ桜乃!ここでリョーマ様のハートをゲットしちゃいなさい!」
「と、朋ちゃん…!あたしはそんな…」

2010/11/9