「みてみて!ババロアつくってきたの!」 「うわあ〜おいしそう!」 「あんたにはあげないわよ」 「え」 「桃城せんぱ〜い!よかったらどうぞー!」 「おっ、うまそー!サンキューな!」 朋ちゃんとお昼ご飯を食べているとき。朋ちゃんは料理上手みたいで、弁当はもちろんババロアもつくるのが上手だった。すごい、女の子らしいなあ…。あたしも料理初めてみよっかな… 「あ、いたいた。愛子!」 「あれ、ゆーちゃん先輩。今日は遅かったですね」 「ちょっと用があってね。あれ、朋香も来てるんだ」 「ゆーちゃんひさしぶり!桃城先輩の応援?」 「…え?知り合い?」 どうやらゆーちゃん先輩と朋ちゃんは小さいころからの幼なじみで話がはずんでいた。あたしはその隙にいなくなった桜乃ちゃんを探しに行くことにした 「桜乃ちゃん、どこいったんだろ」 お昼もたべないでどこかにいってしまったから、少し心配になって探し回った。すると、ちょうど越前くんが木陰で寝ているのが見えて越前くんに聞いてみようと思い近づこうとしたそのとき 「あ…」 桜乃ちゃんも丁度いた。なのに、あたしはとっさに隠れてしまった。こっそり覗き見していると桜乃ちゃんは越前くんの傍にファンタと置手紙を置いた。…前から少し思っていたんだけど桜乃ちゃんって… 「うわーモテモテだねえ越前くん」 「ぬおわあああ!頭オレンジオレンジ!」 しまった。オレンジ二回言ってしまった。あたしが覗き見している背後にオレンジ(本当は千石って名前らしい)がいてオレンジはひどいなあとにたにた笑っていた。幸い桜乃ちゃんには聞こえてないみたいだからよかったんだけど、ってなにがよかったんだかよくわかんないんだけど 「こんなとこでなにしてんの?青学のわんちゃん」 「わんちゃん言うな。神尾さんに負けた人め」 「いやーあれは神尾君に一本取られちゃったからね〜。それより、君は越前くんのことが好きなのかな?」 「ななっ、そんなんじゃないです!」 「じゃあなんでこんなとこに隠れてるのかな?越前くんのとこに行きにくかったんでしょ?あの子がいたから」 「………」 この人は、なんて痛いところをついてくるんだろう。ていうか倍返しされてる…。でも、この人のいっていることは間違ってるわけじゃない。桜乃ちゃんがいなかったらあたしは、越前くんのところへ行っていたのだろうか 「まあ、せっかく越前くんが無防備なんだからキスのひとつでもしてくれば?」 「…はああ!?なに言ってんですか!」 「ほら、眠り姫は王子様のキスで目覚めるでしょ?起こしてあげたら?」 それはあたしが王子様になるってことか?いやどっちかっていうとお姫様のほうがあたしはいいかな 「じゃあ、がんばってね。わんちゃん」 だけど、まんざらでもないあたしは越前くんの傍に寄ってしまうわけで。キス、か。越前くんと…キス、かあ (…越前くんの唇ってきれいだな…) なんて変態チックなことを思いながらも近づくあたし。だけど心なしか切ない感情もあってただただ越前くんを見つめるだけ。気がついたら越前くんにほっぺを指で挟まれていた 「え、えひぜんくん…痛い」 「なにやってんのあんた」 2010/10/31 |