青春を部活に捧げる | ナノ



「……」
「これで賭けはなしね」

帰ってみるともう試合は終わっていて越前くんはあたしを見るなり自慢をしてきた。結果は6−1だったらしくまさに圧勝だった。だから早く試合が終わってたんだ…


「…どんだけあたしの弁当が食べたくないのさ」
「怖いじゃん。あんたの手料理なんて。毒とか入ってそうで」
「こんどつくったとき入れてやるよ」

おーこわ、と越前くんはにやにやと笑ってあたしの前を歩きだした


「あ。おじさまに会ったよ?越前くん出会った?」
「親父?なんでまた…会ってないけど、あんた会ったの?」
「うん。なんか女の子ナンパしてた」

ロリコンに目覚めたんだ、珍しい。と言ったからあたしはつい笑ってしまった



「あのさ」
「なに?」
「えっと…」



「あっ、リョーマ様っ!準決勝進出おめでとう!」
「リョーマくん、おめでとう…」

あたしが話している途中、桜乃ちゃんたちが来ていてあたしはとっさに話を中断した。桜乃ちゃんたちが話している間、あたしはずっと黙ったままで、桜乃ちゃんに大丈夫かと心配までかけてしまった

「あんた…どうしたの?」
「え?いや…」

桜乃ちゃんたちと別れたあと、越前くんもあたしのことを気に掛けてくれてる…んだと思うけど、あたしはなぜかまた落ち込んでしまった。ほんとあたしなにやってんだろ。おじさまの質問が頭から離れない…



「いや…なんでもないや」
「…あ、そ」

「あ、大石先輩呼んでるみたいだよ」
「ん…わかった」

あたしは越前くんを送り出して一人、別の方向へ向かって歩いていった

2010/10/20