青春を部活に捧げる | ナノ



「誰だこいつは」
「…同級生っす」
「なぜ一緒に走ったんだ」
「…勝手についてきたんす」

だってぶちょーがどんな人か知りたかったんだもん。越前くんと話しながら走ってたら結局グラウンド20周しちゃったんだもん。だめだ、息があがってなにも喋れない


「とにかく部外者には変わりない。帰らせろ」
「ぢょ」

やっと声でた!
あたしはわずかな力でぶちょーのジャージのすそを引っ張った


「…ま、え」
「前?」
「なまえ…」

ようやく言えた!ってあたしどんだけ体力ないの!体力だけはあると思ってたのに


「名前おしえてください」
「…手塚国光だが」
「ぶふっ」
「…」
「あ、すいません」

いやこれは笑いじゃないですよ
せきと一緒に出てきたんですよ
そんなに冷たい顔で見ないでください


「あたし上原愛子です!よろしくおねがいしまーす!」
「ああ、よろしく」
(…だからうるさいって)

「ぶちょー、ほんとに3年生ですよね?」
「そうだ」
「残念ながら見えませんね」
「ぶふっ」
「…」
「あ。すんません」

今のはあたしじゃないよ。越前くんが笑ったんだよ。だからあたしじゃないって。ぶちょーに睨まれてるけど謝ったのは越前くんだから


「あともう一つ質問いいですか?」
「なんだ」
「部長歴何年ですか?」
「帰れ」

2010/9/25