青春を部活に捧げる | ナノ




「え、青学?」
「え?だれあなた」

関東大会準々決勝戦。遅刻せずにきたあたしですが、いつものあの白帽子の姿が見当たりません。探し続けているうちに青学と言った女の人がいたのでたずねた


「あっ、じゃあ桜乃ちゃんと一緒の部活なんだ」
「はい…えっと、だれですか?」
「私はね月刊プロテニスの取材をしている芝沙織よ」
「月刊プロテニス?」

芝さんは中学生大会でがんばっている姿を取材している雑誌だと教えてくれた。そういえば越前くんが前に読んでいたなあ。その雑誌の人がいるってことは、青学も名があがってきたんだなあ。あたしも取材してもらえないかな。無理か




「ねえ、それで、俺たちに何の用なの?」
「あ。ごめんね」

……むむ?だれだ。この人たち。緑山中?青学と戦うって言ってるけど、次の対戦相手の人たちか。芝さんがいろいろ質問してるけど、クールな答えが返ってくる。何だこの人たち。なんか…越前くんがたくさんいるみたい!温度の低さがまた越前くん似。あれ?なんか、この人たちの顔が越前くんに見えてきた。うわあ越前くんがたくさん!だ、だれかあたしをたすけてー!


「まああれでいいんじゃない?全国制覇ってやつ」
「え…」

ぶちん。
あたしの頭の中で大きな音が鳴り響いた。いままで見えていた越前くんの幻覚が一気に消えて、さっきの緑山中の人たちに戻った。ちがう。やっぱり越前くんじゃない。越前くんはそんなこと言わない。越前くんは、本気で青学の優勝を願っているんだから


「なんやねんお前ら…」
「は?なんなの君」
「お前らはテニス部の風上にもおけへんわ」
「…なめてんの?お前」

「お前らなんてな…お前らなんて越前くんにやられてしまえ!」
「は?」

「芝さん!青学のみんなどこにいますか」
「え?あ、あっちにいるけど…」
「どうも!それではさよなら!」


「なんだったのあいつ」
「さあ?」


ああ。やっぱり、あたしは越前くんが好きなんだな


2010/9/26