青春を部活に捧げる | ナノ



「ぶちょぉー……うえ、っぐ…ぶちょー!」


ぶちょーは負けた。ぶちょーがベンチに戻ってくるなり、あたしは号泣してベンチから立ち上がってぶちょーを迎え入れた


「あたし、感動しました。ぶちょー、ほんとによくがんばりました!これ、ご褒美です」
「いらない」
「そんな!受け取ってください!ほら、おいしそうなおかきですよ!(2ヶ月前)おばあちゃん家からもらったものなんです」
「砕けているぞ。むしろお前が食べろ」

ちぇっ、なんだよなんだよ〜。せっかくぶちょーの試合に感動して目まで真っ赤になってるのに、こんのぶちょーときたら人の親切さを無駄にするんですもん。桃ちゃんのときは快くもらってくれたのに。最近感動する試合にはなにかしらご褒美をあげるのがブームになっています。あ、あたしの中でね

すると、ぶちょーはあたしからコート外に目を移した。そこにはちょうどアップを終えた越前くんが階段のところで立ち止まっていた

そこでぶちょーの空気に飲み込まれ、あたしは急にだまりこくった。そよ風がふき、ぶちょーは風邪で汗を乾かしながら、お前は青学の柱になれ、と越前くんに伝えた



「越前くん、おかき…」
「いらない」
「…………」

越前くんにもおかきを拒否された。いや、彼の場合断るだろうなって確信はしてたけどさ、もしかしたらいるかもしれないなあと思ってさ。まあ、いいや。ばーちゃんごめん


「ファンタならもらう」
「じゃあ、試合勝ったらファンタおごったげるから、絶対試合勝ってよね!」
「りょーかい。あと、あんたさ」
「ん?」

「顔、いつもより不細工になってるから」
「そこは流しとこうよ!ていうかプリティガールに向かって失礼だろ!」

その瞬間、周りの先輩の目が冷ややかになっていたことにあたしは感づきました


「あっそ。じゃあ、ファンタの準備でもしとけば?」
「勝ったらね!勝ったらだからね!負けたらほんとにやらねーぞ!?」
「負けないし」

おうおう、気の強いことで。あたしのお金足りるかな…。なんか今になって不安になってきた




「上原」
「なんすかぶちょー?あ、おかきですか?やっぱり欲しかったんじゃないですか〜」
「お前、タイブレークの間ずっとベンチに座っていたな」
「あ、はい。越前くんが座っとけばって言ったんで」

「20周」
「なんでー!?だってあの時越前くんもアップしに行ったし、他に誰も座ろうとしてなかったんですよ!」

すると後ろから、俺は止めようとしたけど上原に脅されて止められなかったとか、大石先輩が座るはずだったのに上原が文句を言ったから座れなかったとか、みんな大嘘たたきやがってー!

「だ、だってこれから越前くんの試合ですよ!?ここで見てやれなくてどこで見ればいいんですか!」
「仕方ない。後ろのベンチでスクワット100回で許してやろう」
「まさかのスクワット!」

初めて走ること以外でスクワットを宣告されました。ちくしょー!あたしはみんなが応援している後ろでせこせこと泣きながらスクワット100回をしました。あ、泣きながらっていうか目から汗が出てきました。つまり汗ですね

2010/9/26