青春を部活に捧げる | ナノ



「あの、お取り込み中すみません。入部希望なんですが」

コートの扉を開けた瞬間、獣の目を見たような気がしました


「あ。入部希望?ちょっと待っててね、後で入部届あげるからね」

わ。獣が消えた
なんか先輩たちあたし達には笑顔なんですけど目線がそれると獣の目に逆戻り


「ほら人数は増えてるんだからボールよこしなさいよ!」
「まだ二人しか入ってねーじゃねーか!」

あ。桜乃ちゃんとあたしね。てか入部者第一号か!やったね〜


ってそうじゃねーよ。この空気どうにかしよーよ。ヤンキー同士がメンチきってるみたいで怖いからやめましょうよ。先輩!可愛いんだからそんな怖い顔しないでー!



「よーしじゃあじゃんけんで決めようぜ」
「いいわ。受けてたとうじゃない!」

ごめんなさい、小学生ですか?じゃんけんって…!ふつうにボール分ければいいのに。じゃんけんで決めた結果、男テニの人たちが勝った






「ごめんね変なとこ見せちゃって。いっつもあんなんなのよ」
「は、はあ」
「はいこれ、入部届」
「あ、ありがとうございます」

ってもらっちゃったけど…









「なんてこった…」

あたしは入部届を見ながら芝生の上に寝転がっていた。憂鬱そうに入部届けを見る。どうしよう。これから。唯一興味あるテニスだったのに、まさか


「仲が悪いだなんてー!」
「うるさい」

あ!越前くん!


「きのうはよくも無視してくれましたね、あたしの礼儀正しいあいさつを!」
「あれあいさつだったんだ。あんたの日本語通じなくてよくわかんなかったんだよね」
「失敬な!ていうか、こんなとこでなにしてんの?」
「走ってんの」
「え。なんで?」

あたしも流れにそって走ってるけどさ。あんたもなんで走ってんの?とか言われたけどさ、体力には自信があります私


「部長に走らされてんの」
「ぶちょー?へーえ噂の帰国子女でも走らされるんですね」
「帰国子女関係なくない?」

んーでも、女子テニス部と仲が悪い男子テニス部の頂点に立つ人か。ちょっと見てみたいな。この超生意気な越前くんを走らせる人



「あれ?ねえあの先輩、きのう女テニの先輩と口喧嘩してた人だよね?」
「知らない」
「なんであの人も走らされてんの?」
「…成り行き」

ぶちょー、本日二人の後輩を走らせています。あ、もう一人の後輩は荒い先輩って言うんだって。変な名前〜

2010/9/25