青春を部活に捧げる | ナノ



「ぶちょー、がんばってくださいね。負けてしまった海堂先輩のためにも…!」
「上原、俺のことを忘れているぞ。それはわざとか?わざと言っているのか?それはいじめに値するぞ上原」
「ノーコメントで」
(たのむから先輩扱いをしてくれ)

ぶちょーの試合を見るのは本当に初めて。ぶちょーはすごく強いなんて聞くけど、他の先輩たちだけでもすごいからそれ以上なんて想像できないんだよなあ。

…でもまあ、青学のぶちょーだから当然簡単に勝つんでしょーよ?だってぶちょーだもん。走らせるけどぶちょーだもの。部のちょーてんに立ってるからぶちょーだもの


「はあ、よかった。間に合って」
「あ。しょーこ先輩、こんにちは」

…え?しょーこ先輩?ゆーちゃん先輩にあいさつしてるしょーこ先輩はいつもと雰囲気が違って、ショートパンツに涼しそうな薄着のポンチョを着ていた。え、どうしたんですか先輩?なんか…可愛いじゃないですか?髪もアップにしてお団子になってて

あたしなんかばっちりテニススタイルなんですけど。黒い半ズボンに自分で買った水色ベースの黒のライン入りのユニフォームを着て、選手でもおかしくない感じなんですけど。ゆーちゃん先輩は制服だからそんな違和感ないんだけど

なんか、気合はいってませんか?しょーこ先輩


「なに、あんたも来てたの?愛子」
「き、きてますよ。しょーこ先輩、何しに来たんですか?」
「見に来たに決まってんじゃん。手塚の試合を」
「えっ!?だって都大会のとき来てなかったじゃないですか!」
「あれは練習あったからよ。てか、あんとき都大会行ってたのかあんた」
「えっ?あ?ええ〜?」

墓穴をほってしまった。なにやってんだあたし。いや、あのときは筋肉痛になってたからどっちにしろ練習にはいけなかったんだ!うんうん

「それに。都大会じゃあ手塚はあんまり出なかったらしいしね」
「あ、そういえばそうですね」

あれ?なんか意味深な言葉…。なんでぶちょーが基準なんだろう?あれ?しょーこ先輩、男テニの先輩たちと仲がいい。あれ?女テニと男テニは仲が悪かったんじゃないの!?


「あれは二年が言ってるだけよ」

そうだったっけ!?ゆーちゃん先輩に言われて改めて理解した。た、たしかに…。桃ちゃんや海堂先輩(は、ただ無口なだけだけど)もあんまり女テニと話さないなあ。…なんて複雑なテニス部なんだ!



「じゃあ、なんでしょーこ先輩ここに来たんですか…?」
「愛子、知らないの?」
「なにをですか」

はあ、愛子ってば越前くんばっか気にしてるから時代遅れてんのよ。ってゆーちゃん先輩、いま越前くん関係ないですか?



「だから、付き合ってんの」
「はあっ!?あたしと越前くんは付き合ってません!」

「…………」


「なに言ってんの馬鹿!手塚先輩としょーこ先輩が付き合ってんの!」
「はああああ!?」
「そこ、うるさい」


「(ほら、やっぱ越前と上原は付き合ってなかったじゃないですか)」
「(ほんとだ〜。乾の言ってた通り!)」
「なんの話してんだい?英二、桃」



しょ、しょーこ先輩がぶちょーの女!?な、なんであたしそんなこと知らなかったんだ!あたし結講しょーこ先輩の近くにいたよね?隣にいてもそんなこと知らなかったなんて…。あたしっていったいなんなんだ


「愛子に言うとこうなるから言いたくなかったのよ。放心状態になるからこいつ」
(ほけ〜〜〜)
「ほら、試合始めるからしゃきっとする!」

ばちん

「いったああーー!!」

2010/9/26