青春を部活に捧げる | ナノ



「えっ、もう4ゲーム終わったの!?」
「上原、お前なにしてたんだよ」
「顔洗ってきました」

桃ちゃんにはあ?と変な顔をされて、あたしは持ってきたタオルで顔をごしごしと拭いた。うっわ、髪までべとべとだ。くっそお、誰だよファンタ振って越前くんにわたそうとした奴。あたしじゃねーかよ!



「自業自得だね」
「う…」

もとはといえば越前くんが悪いんだよ!あたしをパシりにするからファンタ振らなきゃいけなくなったんだから


「いいから試合を見ろ、上原」
「……はーい」

そうそう。不二先輩の試合を見なきゃ。でもこれ勝つんじゃない?なんかすご技でたし!なにあれ人間技じゃないよ!かっこいいなあ〜不二先輩





「…およよ?」

誰だろう?越前くんと話してる人…。見たこと無い人だなあ


「えっとはじめまして。どちらさんですか?」
「え?あ、俺は…」
「不二先輩の弟」
「弟おおお!?」
「越前!てめぇ…!」

ふ、不二先輩の弟!?不二先輩に弟がいたんだ…!なんかあたしの中で不二先輩は一人っ子のイメージがあるから弟っていうのは意外だったなあ。…ていうか


「似てない…!」
「は、はあ?」
「不二先輩と全然似てませんよね?髪が短いからかな?」
「そうか?初めて言われた」

不二先輩とちがって爽やかさがある!いいねえ、こんな兄弟がいるなんて


「…あんま本気にしないほうがいいよ、お世辞だから」
「お世辞じゃないから!んもなんでそんなこと言うかなーいちいち!」
「ほんとことじゃん」
「なにをー!!」
「仲がいいんだなお前ら」

よ、よくなくはないけど…。なんか越前くん急に言葉が冷たくなってない?あたしなんかしたっけ?それとも補欠だから八つ当たりしてんのか?八つ当たりなのか?絶対そうだな。そういうことで決定


「あ。試合終わっちゃった」
「じゃあ、俺帰るな」
「帰っちゃうんですか?いいんですか?不二先輩にあいさつしなくて」
「いんだよ。別に用ねーし」
「じゃあ名前だけでも教えてください」
「不二裕太、だ」
「あたし上原愛子です!またきてくださいね裕太さん」
「お、おう…」

いやあ〜まさか不二先輩の兄弟に会うとは…!貴重な体験したような…!

「でもどうして青学にいないの?」
「あんた言っとくけど時代遅れてるから」
「は?時代?」

2010/9/26