青春を部活に捧げる | ナノ




「なっ、なんでー!?」
「買いだめしたいから」
「今飲んでるならそれでいいじゃん!」
「やだ」

ぶちょーに会場15周を宣告され(越前くんの嘘かとおもったけど本当らしく)て、その上越前くんはファンタを持っているのにも関わらずもう一缶欲しいとねだっているのです


「大体お金は?おごりっていうならあたし買ってこないよ?」
「ああ、お金ならここにあるから」
「あ、ほんと?わかった」

それならべつにいいや。あたしは越前くんが炭酸飲料の飲みすぎで体中が空気だけになってしまうんじゃないかという心配より、自分のお金のほうが心配でしたからね。最近あたしの財布財政難なんです

そしてあたしは会場を15周走った後にファンタを買って走ってベンチに戻りました



越前くんに買ったファンタをがんがん振り、越前くんの反応を想像しながら向かう途中、桜乃ちゃんのおばあちゃんとタカ先輩とさっきのボディガードの人に出会った


「あれ!?タカ先輩試合だったんじゃあ…?」
「ちょっと腕を故障しちゃってね…」
「え、ボディガードの方も?」
「ウス」
(ボディガード?)

そんな…!そんなすごい試合してたのに見られなかったなんて…!ショックだああ。もう、なんであたし走ってたんだろう!?



「おや?あんた試合見てたんじゃないのかい?」
「いえ、走ってました」
(手塚か…)「そうかい。今から不二の試合だよ、見に行っといで」
「はーい」

なんか途中桜乃ちゃんのおばあちゃんに当たり前のような目で見られたような…。とにかく不二先輩の試合見なきゃ!












いったいあたしの目の前でなにが起こっているのでしょうか



「…………」
「あ。おかえり愛子ちゃん」
「…へ、あ。ただいま」
「上原!お前どこ行ってたんだよっ!」
「あーちょっと、お散歩」

カチローくんと堀尾くんに声をかけられ、適当に言葉を返すあたしの目線の先には彼と先輩方の争いが起こっていた


「おちびずるいー!」
「そこは手塚部長が座るとこだろー!?」

いったいどういうことなのでしょう?あたしがいない間に、越前くんがベンチコーチになっていたなんて



「ちょっとー!なんでそこに座ってんの!?」
「いいじゃん。ここのほうが見やすいし」
「ファンタはどうするの!?」
「まだ飲んでるからいい」

ったくなんだよなんだよ!あたしの隣で見ているのじゃ物足りなかったってか!?そりゃあ途中抜けたりしてたから寂しかったんだろうけど、こんな仕打ちがありますか!


「あたしも座りたい!」
「お前は一生無理だ」

ぶちょーにはばっさりとそう言われてしまった。あの、女子テニス部という特権でだめですか?あ、やっぱりだめ?

んもー!せっかくあたし15周も走ってファンタも買ってきたのにかなり大損してない?あたし!怒りの頂点に達したあたしは勢いよく、買ってきたファンタをあけて勢いよく、顔にファンタを浴びせました

2010/9/26