青春を部活に捧げる | ナノ





「ねえ!聞こえてんでしょ!?なんだっけ、サル山の大将!」
「サルはてめーだ」
「じゃあ大将で!ん?なんかそれも変だな」


ていうかこのガードはなに!?あたし、今氷帝の家来たちに腕をつかまれて話している状態です。あのボディーガードがどっかいったからチャンスと思ったのに!他にもボディーガードがいたなんて!聞いてねーよ!



「テメーは試合見なくていいのか?青学の生徒だろ」
「ええ。でもテカメガネ先輩の試合はどうでもいいんで。あ。でも海堂先輩が出るんだ…どうしよう」
「どっちでもいいからさっさと帰れ。仮にも敵陣だ」
「いーやーだ!大将をけちょんけちょんにしてから帰る!」
「いてっ!」


あ。今「いてっ」って言ったのはあたしの右腕をつかんでる氷帝の男子生徒Aです。あたしが暴れちゃったから右腕を振りほどいたときに殴ってしまった模様






「それにしても自分、おもろいおでこしとるなあ」


つかまれていた腕を振りほどいた後、丸メガネの髪をたくさん盛っている人にあたしのおでこに書かれた”青学必勝”の文字を見られてしまった。いやん恥ずかしい。そんなに見つめないでくださいよ


「ははっ、だっせー」
「うっせーカエル!」
「お前俺を年上と思ってねーだろくそくそ!」


え?年上だったんですか。やーいちびー。ていうかこの人たちも試合見てないよ!あの人たちの試合どうでもいいの?


「俺に勝ったやつの試合なんかみたくねーんだよ」
「え、尚更見ろよ」
「おまえなあ…!」
「岳人。挑発にのっとるで。しかもこの子1年やろ?」


な、なんで分かったんだこの丸メガネの人!あたしそこまで有名人になっちゃったのかなあ?いやいやうれしいものですね。まあそうだよね、関東大会にもなればいやでも有名になっちゃうよね〜


「いや自分はどう見ても1年やろ」
「……………………」
「ははっ、ざまーみろ!」
「年上なのにあたしと同じ身長な人より全然ましです」
「くそくそ!侑士!なんかこいつ俺にだけひどいんだけど!」


あ。ぐずった(爆)べつにあなたのことだなんて言ってませんよ?


(こいつら静かに試合見れね―のか…)









「越前」
「…あ、乾先輩、お疲れ様っす」
「ああ。試合には負けてしまったがな」
「……」(あれは自滅っていうか…)


「ところで越前」
「なんすか?」
「お前の彼女の姿が見えなかったが?」





「………誰のことっすか?」
「ん?なんだ、ちがうのか?」
「俺…ファンタ買ってくるっす」
「あ、ああ…」


(ん?越前と上原は付き合っていないのか?…一応データに入れておこう)







(…彼女、か。浮気されてるんだけどね)

2010/9/26