青春を部活に捧げる | ナノ



少年Eと追いかけっこをして約数分。ようやくたどりついたテニスコート。いや、実際少年Eは案内してません。走ってたらいつのまにか着いていました。少年Eの姿はもうどこにもありません。くっそー、まんまと逃げやがったなあいつ


「とにかく…仮入部…しなきゃ…」

おかげさまで息が切れ切れです。足速いなーあいつ…。やっぱ男女の差ってやつか?いや、身長はあたしと大して変わんなかったぞ。悔しいなちくしょー

まあ、なんにせよテニスコートにたどり着いて一安心。あたしは女子のいるほうへと向かっていくと、フェンス越しにテニスコートを眺めている女の子がいた。…もしかして、あたしと同じ新入部員かな?テニスラケット持ってるし


「ねえ、もしかしてテニス部入る?」
「えっ、あ、はい…」

か、可愛い…。おどおどしているけど、顔もちっちゃくて可愛い。長い髪でおさげなのがうらやましかった


「よかったー!あたしもテニス部入るんだ〜、よろしくね!えっと…」
「あ、竜崎桜乃…です」
「桜乃ちゃんね!よろしくー」
「よろしく…っ」

桜乃ちゃん可愛いな〜、と見とれていた矢先、コートのほうからなにやらもめているような声が聞こえた


「桜乃ちゃん…あのさ、聞いていい?」
「え?うん…」
「先輩たち、なんで、喧嘩してるの?」

よく見ると女の先輩だけじゃなく、男の先輩たちともめている様子。え、なんで?


「なんか…ボールの量がちがうって言って、喧嘩してるみたいだよ…?」

ボールの量で喧嘩って…え、うそ


「はぁ!?ボールとりすぎなんだっつってんだよ」
「ボールとりすぎって二箱しかとってないじゃない!」
「女テニは人数少ないんだから一箱で十分なはずだ」
「そーだそーだ!」

まじか…。どうすればいいのこの状況。まさか先輩たちがボールごときで喧嘩するなんて思ってもなかったからびっくりだ




「あ。リョーマくん…」
「りょーま?」

「あ。さっきの…煎餅どろぼう」

だれが煎餅どろぼうだおい。見ろ、あんたがそんなこと言うから桜乃ちゃんがびっくりしちゃったじゃないか


「ていうか、りょーまって、え?この人りょまって言うんじゃないの?」
「違うから。あんた、英語も読めないの?馬鹿じゃないの?」
「うっさいだまれ」

腹立つなあこの人!あれ?でも待てよ…?リョーマってどこかで聞いたことあるぞ…。たしかクラスのみんなが噂してたっけ?アメリカ帰りの…帰国子女の…


「もしかして越前リョーマ!?」
「いまさらじゃない?」
「今思い出したんですー。ていうか噂と大違いじゃんか!」
「は?」

あたしが聞いた話じゃ、超フレンドリーで英語しか喋らないゴリラみたいな人って聞いたんだけどなー。全然違うじゃん。全く逆じゃん


「ま、とにかく。自己紹介がまだでしたね越前くん。あなたの走りにあたしは感動しました」

上原愛子です。よろしく、と越前くんに握手を求めると、さらっと無視されてしまったのであたしは怒り爆発した

2010/9/25