青春を部活に捧げる | ナノ




「………はあ」


あたしの青春ってなんなんでしょう

部活やって終わりか?え?恋をすることなく中学3年間を過ごすことになるのでしょうか


なぜあたし上原愛子は教室のベランダでたそがれているのか
それはあの生意気で冷徹でテニス馬鹿にふられてしまったからです

今思うとなんであたしはあんな人に告白してしまったんだろう。そしてなぜあんなにもあっけなくふられてしまったんでしょう。そこはちょっぴり自信があったんです

それにあのテニス馬鹿はその後の空気も考えずに断った。あの後あたしはバス賃がないものだから、あの重たい空気の中お金を借りるという最悪の状況に陥り今に至ります

あーあ。最近独り言多い。そんでもって病み期が多い

でもそんなことであたしはくじけなーい!越前くん一人にふられたからって人生が終わるわけじゃない!そしてあれはきっと一時の気の迷いだったんだ!今になってみると、なんであたしはあんな生意気小僧に告白したんだかわっかんね!



「ということで今日から部活に専念したいと思います」
「その気力、入部当時から欲しかったわ」

しょーこ先輩に全部は話してないけど基本は越前くんの試合を見てやる気が出たとか嘘をついた

「でもあんた、明日からランキング戦だけど大丈夫?」
「え?しょーこ先輩たちもう試合ないですよね?」
「大きい大会はね。でも試合はちょこちょこあるからそのためにランキング戦しようと思ってね」
「へえ〜、でなんであたしにそれを言うんですか?」

あたしはここで間違ったことを言ったのかしょーこ先輩ははあ?と怖い顔で言った

「え。もしかして」
「あんたも出るのよ。ゆーちゃんがあんたと戦いたいっていう要望のためにね」
「ゆーちゃん先輩…!」

うれしいことじゃありませんか!引退する先輩が最後に後輩と戦っておきたいっていう慈悲!慈悲?あってる?最近本読んでるからボキャブラリーが増えてる気がするんだけど

「あんたがゆーちゃんの代わりに大会に出て、悔しいから一回倒したいんだって」

やっぱりそうかあああああ



なんにせよ、あたしは明日決闘を申し込まれたってことですね。はい。しかも負けなくてはならない試合に。ここはおとなしく負けておいたほうがいいな。先輩のためだもんね!

「あんた生意気言ってるようだけど、あたしたちがあんたなんかに負けるわけないんだからそんな心配いらないわよ」
「心読まれたああああ」









「さ、愛子。はじめるよ」
「先輩、腹痛いんで棄権してもいいっすか」
「だめ。それは気のせいだから」
「…まじすか」

いやだなあ。あたしテニスやる気にはなったけどいきなりランキング戦だなんて逆にやる気なくしちゃうよ

しかもさすがレギュラーのゆーちゃん先輩。あたしよりはるかに強い。いや、当たり前なんだけどさ

…でもあたしはゆーちゃん先輩と戦っているはずなのに、越前くんと試合をしているように見えてしまっていた。脳裏に浮かぶ越前くんの打つ姿。あたしはいつのまにかゆーちゃん先輩にエースを取っていた










「えーちーぜーんーくーーーん!」


どごっ!


「……………………なに」


あたしは越前くんにアタックした。いや、恋のアタックじゃなくてね肩を両手で押して、押しすぎて越前くんをこかしてしまったっけどね



「じゅん!じゅん!」
「はあ?」

「準レギュラーになった!」


あたしは越前くんにぶいサインをしたけど、越前くんはいつものようにあっそとクールな返答をしながらむくっと起き上がった


「レギュラーじゃないわけ?」
「やっぱ先輩たちには勝てなかった」
「あたりまえ」
「うわ、クール…」


越前くんはいつもと同じ。告白しても変わりなし

それはそれで悲しかったけど、逆に気を背負うことないからよかったのかもと思う





「あれ?みんななに集まってんの?」
「知らないの?今日ランキング戦」
「まじで」

男子もか

2010/9/26