青春を部活に捧げる | ナノ




「…なんでこんなことに」


あたしと越前くんは表彰式の後先輩たちに言われ(はめられ)てコート整備をすることになった


「ほんと、あんたといるとろくなことないよね」
「あたしのせいじゃないもん!菊丸先輩たちがいけないんだってば」
「大体はあんたのせいでしょ?また騒いでたからとかなんとかで俺までとばっちり受けて…」




「………もしかして、聞こえてた?」
「は?」


よ、よかったー!聞かれてなかったみたい!かっこいいってあたしが言ったのも絶対聞こえてないよね!?あーよかった。コート整備もようやく終わって、帰ろうとするけどやっぱりみんなは帰っていっていた。ほんとみんな鬼なんだから!



「あ。ちょっとトイレ行ってくる」
「場所わかってんの?」
「5回くらい行ってるからわかるって!」
(どんだけ行ってんの)


女の子の諸事情なのさ!








はー。今日バスで来たから越前くんと一緒に帰らないといけないんだろうなあ…。しかもあたしバス代も全財産も使い果たしちゃったから、越前くんにおねだりしないと帰れないんだよね。どうしよう。あの鬼の男子テニス部一鬼の越前くんがあたしにお金を貸してくれるなんて思えない。土下座してでも貸してもらうか



「……テメーは」
「あ!たばこ!」
「…その呼び方はやめろ」


なんでたばこがまだここにいるんだろう?だってあそこで残ってたのはあたしと越前くんくらいなのに






「てめぇ、越前の女って本当か?」
「……………」
「おい、無視してんじゃねー」
「…ちがいますけど、なんでそんなこと言うんですか」
「……太一から聞いた」


太一…?ああ!壇くんか!そういえば壇くんなにかメモってたっけ?あのときのあたしと同じことしてたんだよね



「それはデマです。忘れてください、今すぐに」
「なんだ。デマか。つまんねーな」
(いや楽しまれても困るよ)


「付き合わねーのかよ?」
「なんでそのくだりになるんですか」
「あ?ただ聞いただけじゃねーか。で、どうなんだ?」
「付き合いま………」


…待てよ?


「おい、またかよ」


あたしの当初の目的は彼氏をつくることだよね?そりゃあ越前くんとは犬猿の仲だけど、こんなにいろんな人から付き合わないのかって言われるってことはあたしと越前くんは相性はいいってことなんだし、結果オーライじゃない?


そうだ。なんであたしはもっと早く気づかなかったんだ


「ありがとうごさいます!亜久津さん!」
「あ?……騒がしいやつだな」










「あんた、トイレ長いすぎ。ほら、帰るよ」
「越前くん」
「…なに?」










「あたし、越前くんのことが好きです!付き合ってください」
「無理」







「えええええ」

2010/9/26