ないないない!まさかあたしに限って越前くんを好きになるなんてね〜。ないです。だってあの越前くんだよ?あの生意気であたしのことをかなり下に見ている奴だよ?しかも冷徹冷血だし あたしは後輩いびりが終わったあとも一人悶々と試合も見ないで考え込んでいた いや、そりゃあね越前くんとは仲がいいと見られてもしょうがないかもしれないけど、越前くんはあたしをけなすばっかであたしはそれに怒るばっか。これはもう、ただの犬猿の仲というやつだとあたしは談じます 越前くんの家に行ったっていうのも元はといえばぶちょーが教えてくれたからその場所を覚えてしまったというのは不可抗力であって決して好き好んで越前くんの家に行ったわけではありません そう!あたしたちは決して仲良くはないしそれ以上もない!絶対に! …なんだけど、 さっきからいってるこの心臓の収縮はいったいなんなんだ?こんなこと、前もあったような… 「越前、おされてるな…」 「亜久津の強さは予想以上だ。常に越前の逆を打ってくる」 越前くんがおされてる?あの越前くんがねぇ、へえ。ついにおじさまに報告するときが来たか、とようやくあたしは試合に顔を向け見てみると、 あたしは越前くんがちょうどたばこにボールをぶつけられているとこを見てしまった 「!」 辺りは痛そう、とか大丈夫かな、とかざわめきが聞こえてきて、あたしもそれになぜが便乗していた。あの越前くんが、おじさま以外の人に倒れてるなんて初めて見たから本当にびっくりした すると越前くんはなにごとも無かったかのようにむくっと起き上がった。どうやら越前くんはわざと顔に当たったふりをしてラケットに当てていたらしい。あたしは少しほっとして胸をなでおろしていた。いつのまにか心臓の収縮は収まってた 「…安心した?」 安心してたあたしに突然不二先輩が聞いてきたから逆にそっちに驚いた 「へっ!?な、なにがですか」 「越前が無事で」 「べっ、べつに安心なんてしてませんよ!むしろショックでした。越前くんが負けるとこが見れると思ってたのに」 「素直じゃないね。上原さんは」 素直って、どこを素直になればいいんですか!不二先輩ってほんとう不思議…。天才、だから?よくわかんね! ていうかなんであたしが越前くんの心配しないといけないんだろうか!越前くんは前のほうがひどい怪我してたのに。あのときはあたしもこんな心配することなかったのになー。なんで今になってこんなに心配するかね。大体なんで越前くん如きにあたしが… 「ウ・ソ・つ・き」 ずきゅーーーーん! 「 ? ? 」 「?どうかしたの上原さん」 「い、いえべつに…」 な、なに今の音!? 2010/9/26 |