青春を部活に捧げる | ナノ



「桃ちゃんよくがんばりました」
「お。上原お前しゃべれるようになったのか」
「おかげさまで。はいこれ、ご褒美です」
「……ああ、サンキュー」


あたしは桃ちゃんにご褒美として不思議なアメをあげた

え?パクリじゃないか?ちがいますよ。正確には二週間放置していたアメです。つまりべとべとです

でも桃ちゃんの試合は個人的にすごく感動した。怪我したからとかそういうんじゃなくって、テニスの情熱を感じた。あたしもがんばらなきゃな〜


さて次は…


「俺にはもっと別のご褒美ちょうだい」

なっ、越前くんは勝つ気でいるのか!

「もう不思議なアメはないよ。ていうかご褒美なんて越前くんにはあげないし」
「ちぇっ」
「でも絶対…勝ってくれないと…」
「………」












「不法侵入しますからね」
「…あんたやくざ?」


そういってあたしは越前くんを見送っていった


「愛子ちゃん」
「あ、タカ先輩」


タカ先輩はうちのお父さんがよく行くお寿司屋さんの息子であたしもたまに食べに行ったりするから知り合いなんです

あ。もちろんビフォーアフターも知ってます。今はビフォー状態かな


「越前、大丈夫かな」
「大丈夫なんじゃないですか?最後まで生意気な口たたいてましたし」
「…だけど相手が亜久津だから…」
「タカ先輩たばこ知ってるんですか?」
「たばこ…?亜久津とは空手で一緒でね。あいついつも乱暴だから、越前が怪我しないだろうか心配でさ」
「へえ…。大丈夫ですよ。あたしが負けないように釘打っておきましたから」
「ほんと、なにもないといいけど」


大丈夫ですって。あの越前くんがあんな不良ごときに負けてたらおじさまが黙ってないって。ていうかもし負けたらあたしがおじ様に報告するっての。ぷぷぷ、たのしみだ〜






「…まさか」


越前くん…ほんとに勝つ気でいる…。まあ当たり前といえば当たり前なんだけど、しょっぱなからたばこに顔面ぶつけるなんて…こわいこともするもんですね越前くんも


「今のは石を当てられたカチローの分」

うんうん

「まだ河村先輩の分も残ってんだからさ」

うんうん

「ついでに荒井先輩の分も」

うんうん


「………」



あれ?あたしは??

2010/9/26