『まけろー!負けろ頭オレンジ頭!』 「上原、それは誰にも聞こえていないぞ」 『あ、テカめがね先輩』 「…やあ」 『先輩もあたしとおんなじことしてますね。筋肉痛ですか?』 「いやこれはただのデータ収集」 「ちっ」 「お前本当は声出るんじゃないか?」 筋肉痛はだいぶと言っていいほど元に戻ってきた。なーんだ。じゃあもうこのメモいらないじゃん。だはは。ということで元通りのあたしに戻ります! 「負けろって、千石になにか恨みでもあるのかい?」 「ええ。あの人あたしを除いてナンパしてきたんですよ。しかも挙句の果てにはあたしを犬よばわりしたんですよ!信じられますか!?」 「あ。しゃべれるようになったんだね、上原さん」 「へえ〜っ、めずらしいこともあるんだね〜。千石がナンパしない子がいるなんて」 「そうなんですか?…てことはあたしは可愛くなかったってこと…?」 「そういうことなんじゃない?」 「なにをー!!」 あたしは可愛くなさを肯定した越前くんを追いかけようとしたけど体はまだ動かなくてこけてしまった 「お前ら、桃の試合なんだから静かにしてくれないか」 あ。さっき菊丸先輩と一緒にいた人だ。坊主でなんか前髪が二本触覚みたいに出てきてる髪型の人だ 「それと君。試合中だから声のトーンは下げてね」 「あ。すいませーん。えっと、ところでどちらさまですか?」 「………」 「大石は俺のダブルスパートナーなんだよーん!」 「大石先輩ですか。すみません名前覚えてなくて…」 「いや、いいんだよ。気にすることはないさ。君は越前や英二と仲がいいみたいだから多少は聞いているよ、上原さん」 「うわあっ、名前覚えててくださったんですね!」 ああ。と大石先輩は微笑んでよろしくと握手を求めてきた。あたしはよろしくお願いしますと握手をすると大石先輩は握った右手を痛そうにしていた 「そういえば君は女子テニス部だったよね?」 「?ええ…」 「今日は練習じゃなかったかい?」 「え」 「…あんた、また部活さぼってきたの?」 越前くんの冷ややかな目があたしに降り注がれた瞬間、他のみんなも一斉にあたしのほうを見た 「いやいや!さぼってませんよ!みんな、あたしに対しての扱いがひどすぎるから心配させようっていう心理戦です」 「それはただの言い訳にしか聞こえないぞ」 ぶちょー。お願いだからあたしに一回優しくしてください 「愛子休みだね〜」 「どうせ筋肉痛とか嘘ついてあたしたちを心配させようって腹でしょ」 「さすがしょーこ。頭がきれるね」 「…あのオレンジってそんなに強かったんですか…」 もう頭つけるの疲れたんでオレンジにしました。だってオレンジってあいつの他に誰もいないからいっか、ってね 「あの人、強くてもあたしには及ばないだろうなって思ってました」 「うん。それはないと思うよ」 …え?今言ったの不二先輩!?不二先輩に馬鹿にされてしまった!あたし、今てっきりまた越前くんかよとか思ってたら、まさかの不二先輩!不二先輩に言われたらおしまいだわあたし… 「ジュニア選抜は伊達じゃなかったということだ」 「あいつはラッキーだけでここまでこれたやつじゃないしな」 あたしはラッキーで彼氏ができたらいいなと思っていました 「あんたには無理でしょ」 「聞こえてしまった!!」 2010/9/26 |