青春を部活に捧げる | ナノ




『ここはいったいどこなのでしょう?』
「は?」



迷った。まずい。迷った

越前くんに散々けなされたあげく、筋肉痛だった足も忘れて森の中を走っていたら全然知らないとこに来てしまった。そして知らない人にメモを見せたら頭のおかしい人だと勘違いされてしまった

どこだここ。あ。しまった

あたしは近くにあるコートを見てみると、青学のユニフォームが反対側にあるから敵陣のところに迷いこんでしまったんだ!

どどどどうしよどうしよ…!

幸いユニフォームじゃなかったからよかったものの、制服で来てしまったから見つかるのも時間の問題…!このままだとあたしは山吹にリンチされてミンチにされてしまう…早く逃げなきゃ…!



「あれ〜?青学の制服じゃん」
『しまったあああ!』


もちろん一人でメモとっています。背後から声をかけられてあたしの肩はびくびくいってほんと震えてる状態


「ねえねえこんなところでなにしてんの〜?アド交換しない?」


しかもナンパか!じ、人生初のナンパじゃありませんか!いやだな〜こんな状況でナンパされるなんて!うれしい、といえばまあうれしくないことはないけど…

どうしよっかなあ〜。まあとりあえず、顔を見てから決めるか(最悪)





『…………』
「ん?」


頭オレンジ頭じゃねえかよーー!!


『あ、あんた!頭オレンジ頭』
「え?なになに…?頭オレンジ頭って俺のこと?俺のこと知ってたんだ〜ラッキー♪ていうかなんでメモしてんの?」
『ラッキーじゃねえよ発音間違ってるよ』

なんでメモしてんの質問には答えるひまがなかった

「いやいやそういう発音なのよ。それにしても君、どこであったっけ?」
『あなたがうちの学校をスパイしにきたときです』
「えー?君みたいな子いたっけ〜?」


記憶から抹消されてる…。まあしょうがないっか。あたしのことは眼中になかったからね。ていうかなぜ今になってナンパしだしたんだこの人…。前来たときは無反応だったのに


『お茶はしません。あたしのことも忘れているようなので』

ていうか知らないだろーが

「え〜っ、せっかくなんだから名前くらい教えてよ〜。こんど会ったときはちゃんと名前で呼んであげるから」
『そうですね…。青学一の美少女と覚えておいてください』
「うーんそれは難しいな」


な ん で だ

べつにいいじゃん!そりゃあ今のは無茶振りだったかもしれないけどさ!桜乃ちゃんたちよりは可愛くないけどさー!


「そうだなあ。青学のわんちゃんって覚えておくよ」


し か も 人 間 以 下

おい。人間にも見られてねーのか!ちきしょー!腹立つー!あんがい正直者だなこのやろー!


『もういいです!覚えてくれなくて結構ですから!さよーなら』
「またね〜わんちゃん」


あんなやつもう知るか!





『桃ちゃん、絶対絶対絶対勝ってください』
「おう。応援よろしくな上原」
『勝たなきゃ罰金500円ですからね』
「…金取んのかい」


500円は中学生にとって大金だもの


「かつあげはよくないぞ上原。走りたいのか?それとも連れ出されたいのか?」
『応援したいのです』


2010/9/26