青春を部活に捧げる | ナノ





…最悪だ。なんてことでしょう


















筋肉痛になるなんて!!!!


え、今日男子の都大会後半戦なんだけど!なんでこんなときに筋肉痛!?ベッドから天井を見上げる体勢約20分!一向に体が動きません。これ病気じゃね?あたしとうとう末期じゃね?

なんでこんなときになっちゃうかなー。もう試合始まってるころだよ…

でもここは、なんとかして行くしかない!だって越前くんがせっかく誘ってくれたんだからなんとかしていかなきゃ!ていうか行きたい!

なのに手も動かない!気をつけの姿勢でいることもう30分!!おい!動け!俺の体あああああっ!



「愛子ー?あんた起きてるなら早く起きなさい。今日は男子の試合見に行くんでしょ?」


行きたいけどいけないんだよ!え、なに?声も出なくなったの!?あーあーあー!ちょ、お母さん起こして!ねえ!部屋の片付けとかしなくていいから!そんなことよりあたしを起こしてえええ!










あああ、ぎこちない


ほんとに。やっとの思いでついたよ

バスの中でも指が動かなくて、降りるボタンを押そうとしてもひとさし指で押したかったのに手のひらで押し付けてしまったよ。周りの目がかなり気になったよ。初対面なのに痛い人あつかいされてそうで怖いわ

お金なんてね、両替ができないもんだから500円も出費しちゃったよ。おつりほしーよ。あたしの今の全財産何円?………32円ってなんだよ。どんだけ貧乏なったのあたし。なにに使ったのかしらほんと!

そんな超大変な思いをしてようやく青学のいるコートまで歩いて?いやロボット歩きで行った



「別にそんな思いしてこなくてもよかったのに」
「………」


なのにこいつあたしの大変な思いを無駄にしちゃったよね。せっかく見にきたんだからありがとうのひとつも言えんのかこいつは!きのうの死にそうな顔をお前は忘れたのかー!?いつもより多く喋ってますけどなにかー!!



「上原さん、めずらしく越前に言い返してないね」
「ほんとー。いつもならここで喧嘩するよね」


不二先輩に菊丸先輩。あたし喋れないんです。心の中でくそ喋ってますけどね。いつもより本当は少なくっていうか全然喋ってないんですよ。はい。


「顔はすごく悔しそうな顔してるけどね」


最近知り合ったタカ先輩は苦笑いをしていた。まあそうですよね、顔でしか気持ち表せないですもん


「なになに?筋肉痛で喋れないんです?」


あたしはしょうがないからメモで気持ちを表すことにした。バスのときもこのメモでおつりはいらないからと言ってバスを降りたんだよね。いやかっこつけた覚えはないよ。悔しさでいっぱいだったよばかやろー


「ばかじゃないの」
『なんだとーー!!!』
「うわ、メモ書くのはやっ」


ふっ、指はだいぶ慣れてきたのか書くことは普通の速さで書けるようになってきた。これで言いたいことなんでも書いていこう!聞こえないときは足でだんだんって地面をふんで気づいてもらえばいいもんね


『ところで、今からの試合はどことですか?』
「山吹中だよ〜ん」
『え?もしかして』


頭オレンジ頭とたばこがいるとこか!

2010/9/25