青春を部活に捧げる | ナノ



「ほわあああ!やっべ!都大会やっべ!」
「愛子うるさい」


テンションあがってきた!なんかめちゃくちゃ勝てるような気がしてきた!ここが都大会が行われるテニス場だって思うと本当わくわくしてきました!





「じゃあオーダー発表しますね〜」


このくねくねした男の人はうちの顧問です。はい、ちょっとオカマ入ってんのかもね。うっちーって言って確か社会担当の先生です


「シングルス3に上原さんですね〜」
「…はーい」


うっちーはやっぱりあたしをシングルス3に指名していよいよ試合が始まった




初戦は難なく勝てたんだけど、あたしの出番はなくてしょーこ先輩たちがストレートで勝利した。二回戦目もなんとか勝つことができて三回戦にすすむようになったんだけど




「愛子、しっかり」
「愛子ちゃんがんばって」
「はい!がんばります」

「上原さん。勝っても負けても精一杯がんばればそれでいいですからね」
「はい!」


三回戦、先輩たちも取ってとられて二勝二敗になっていた。あたしの試合ですべてが決まるところだった

しょーこ先輩や桜乃ちゃんやうっちー、ほかにもたくさんの先輩が応援してくれて精一杯がんばろうと思った








だけど、体が緊張しすぎて思うように動けない。なんだこれ。ほんとにあたしの体……?堅くなってしまったあたしの体は、自分のテニスができなくなっていた。その結果、


「ゲームセット、ウォンバイ下澤!6−3」



あたしは負けてしまった

相手の学校はたくさんの人が拍手を、相手選手のところには仲間が走りながら飛びついているのが見えた

あたしは、肩を落として戻っていった。コートの外では、しょーこ先輩が優しくあたしの頭を撫でてくれた。いつも厳しいしょーこ先輩だけど、この日だけはなにも言わないでただひたすら、よく頑張ったと慰めてくれた

他の先輩もあたしを責めることなく励ましてくれた。愛子には次があるから落ち込まないで、と。あたしには次があるけど、3年の先輩たちにはもう次がない。いつのまにか罪悪感を背負い、涙を流してしまった。みんなに迷惑をかけてしまった。


くやしい。




2010/9/25