青春を部活に捧げる | ナノ




「…シングルス、っすか?」
「うん。よろしくね愛子」


練習試合の団体戦。あたしはいきなりシングルス3という大役を任された。シングルスて…!完璧ゆーちゃん先輩のポジションじゃないっすか!ていうか一年にそんなん任せていいんすか!?


「あれだけ練習したんだから大丈夫よ。それに、あたしにも1ゲーム取ったんだから自信持って」
「あれだけって…数週間しか練習してないっすよ」
「大丈夫大丈夫」


相手はそんなに強いチームじゃないからなんてしょーこ先輩は励ましてくれるけど、全然気が気じゃない…!なに?いきなりコートで一人でいないといけないの!?さびしすぎるーー!!






「……勝っちゃった…?」


え?うそ。まじで?いやうそだねこれは。だってしょーこ先輩が笑顔なのも久しぶりに見たもん


「おめでとう愛子」
「やったじゃん愛子!まさか勝つとは思わなかったよ」


うそでしょ。だって相手はシングルス3の二年生であたしより背も高かったのに?まあストレートまでとはいかなかったけど、6−3で勝ってしまった


「やっぱあんたには素質があると思ったわ」
「しょーこ先輩。あたしのほっぺつねってくれませんか?」
「なによ。つねったって現実よ」
「いだだだだっ!!現実だあああ!」


よかった!杏ちゃんさんとの練習は無駄じゃなかったんだ!サーブもきちんと入ったし、苦手だったバックも打てた!





「っていうことであたしは無事勝利したんだよ!」
「…それ。俺のクラスで言うこと?」


あたしはこの輝かしい成績を越前くんに伝えるべく、1年2組に行って自慢してやった。ちなみにあたし、越前くんとは違うクラスなんだよね。だから昼休みにわざわざ報告しに行ったわけ


「テニス部スーパールーキーは越前くんだけじゃなかったんだよ!」
「あっそ。すごいすごい」
「ありがとう良きライバルよー!」


「なあ上原も都大会に出るんだって?」
「あ。堀尾くん!」
「よっ。おまえも結構やるよなー。二年の先輩を押しのけて一人レギュラーになるなんてよ!まっ、男子テニス部には勝てるわけないだろうけどなー!」

「おっしゃあ勝負だ越前くん!」
「って聞けよ!」


「調子に乗ってると痛い目見るんじゃない?」
「それは試合に勝ってから言うもんだよ」
「俺には勝てないだろうけど」
「都大会でも優勝して帰るんだから、スーパールーキーの力見ててよ!」

「ていうか女子の会場ちがくね?」
「え」

2010/9/25