青春を部活に捧げる | ナノ



「まじっすか」


それは都大会の数日前


「ゆーちゃんが休んでたぶん大会に間に合わないから、代わりになるのがあんたしかいないのよ」
「先輩たちがいるじゃないですか」
「人数少ないの知ってんでしょバカ」

またバカって言われた!またしょーこ先輩にバカって!


「ていうかなんでゆーちゃん先輩休んだんですか?」
「なんか突然風邪ひいたとか」


…それ風邪じゃないです恋の病です、桃ちゃんによる


っていうことで急遽あたしがレギュラー代理として出ることになったんだけど。当然あたしはテニス初心者。そんなのが大会に出るなんてありえないだろうから、休日に練習しに行こうと思った


「しょーこ先輩!土曜日練習つきあってください!」
「あー無理。塾の模試があるから」


しょーこ先輩はどうやら大会より模試が優先だった。しょーがない。だれか違う人誘おう


「桜乃ちゃんもだめなの?」
「うん…ちょっと用事があって」
「そっかあ…」


桜乃ちゃんがだめだと誘う人が限られてくるなあ…えーっと

桃ちゃん;ゆーちゃん先輩が嫉妬するかもだからダメ
テカメガネ先輩;眼鏡が反射するから無理
ぶちょー;走らされるから嫌
越前くん; 論 外 ×


…頼りになるのがいないじゃないか

まあいっか。とりあえず明日ストリートテニス場に行ってみよう。壁打ちくらいはできるだろうし





「あれ?愛子ちゃん!」
「あ!杏ちゃんさん!」


次の日テニス場に行ってみたら杏ちゃんさんがいた!よかった〜知ってる人がいて。なんか知らない人はたくさんいるけど


「ひとりで練習しにきたの?」
「はい…急遽大会に出なきゃいけなくなっちゃって」
「そうなの!おめでとう!」
「いえいえ。で、あたし初心者だから練習しに来たんですけど知り合いがみんな用事で練習できなくて壁打ちに来ました」
「それならあたしと練習しようよ!」
「ほんとですか!」
「うん!あたしも女の子一人で来てたからね」


来てよかったー!!杏ちゃんさんテニス上手いし優しいし!周りにいた知らない人たちと試合したり結構練習になった


「愛子ちゃん一年生なのに上手いね!」
「いやいや全然ですよ!杏ちゃんさんが上手すぎるんですって」
「ありがとね。でもこの調子だと大会でも大丈夫よ!」
「ほんとですか!」


よっしゃ!これで越前くんにも勝てるかな!勝てたらおごってもらおーっと




「なんだ、このしけたテニスコートは」


「あれ?誰か来ましたよ?」
「誰だろうあの人たち。見たこと無いな」


「こんなテニスコートにいる奴らだから弱者が多いんだろうな、な?樺地」
「ウス」

2010/9/25