青春を部活に捧げる | ナノ



「…………なにしてんの」
「また越前くんが勝手にコートに入らないように、とおせんぼです」
「もう行かないし、不二先輩本気でやってるし」
「百腕巨人の門番」
「ばかなの?」

越前くんに目をそらされたまま言われてしまった。

結局不二先輩の試合は、あと少しのところで負けてしまった。やっぱり、すごい。不二先輩の追い上げもすごかったし、白石さんのねばりもすごかった。たぶん、どちらが勝ってもおかしくない試合だった。不二先輩は悔しそうな表情でベンチに座った。こんな不二先輩は、初めてだ…。




さて、次の試合。どうやら桃ちゃんと海堂先輩のダブルスだそうだ。相手は、アフロに目隠し?

「…なんだあのふざけた人たちは」
「あんたに言われちゃおしまいだよね」
「なにそれどういう意味?」
「そんまんまだけど」

ていうかさ、テニスにアフロってかぶっていいの!?そんなだったらあたし今度馬のお面かぶってきますよ?いいの?あれ被ると結構面白いよね!歩いてるだけでも面白がられるし!

「あんたいつもそんなの被って街歩いてんの?」
「いやかぶってないけど!好きだよ?こういうお面」
「…………なんで持ってんの」
「え?」

あたしはカバンからマスクを二つ持ってきていた。なんせ四天宝寺は関西じゃないですか。こういうジョークも交えたいなと思っているんですよ。これなんて可愛いでしょ、ハートマークついてる。

「これ…プロレス用のお面じゃない?」

タカ先輩があたしのマスクを手に取って、物珍しそうに眺めていた。さすがタカ先輩、よく御存じで!!

「そうなんですよ。けっこう高かったんですよ…」
「……あんたさ、そんなん買ってるから貧乏なんじゃない?」
「ええっ!?なんで知ってるの!?」
「前財布の中見たし」
「なっ……………………………ヘンタイ!」
「ほんとのことじゃん」

ヘンタイって言った瞬間タカ先輩が顔を赤くさせた。いや!そういう意味じゃないんすよ!ボキャブラリーが浮かばなかっただけです!!そんなやり取りをしていると、桃ちゃんにいきなり「それ!使えるじゃん!貸してくれ!」と言われて、マスク二つ取られてしまった。………えっ

2012/07/15