青春を部活に捧げる | ナノ



越前くんが不二先輩を挑発してからというもの、不二先輩の眼の色ががらりと変わった。がむしゃらにボールを追いかけて追いついて、必死にしがみついていた。その執念は、あたしとは違ってて、勝つための執念が垣間見えていた。

しかも鳳凰とか麒麟とか、すごい技ばっかり出てくるし!不二先輩やっぱ無敵じゃん!

「不二先輩やっぱすごい!!って、あれっ大石先輩泣いてます!?」
「いや…不二の奴、0-5から一気に這い上ってて、その根気に感動してね」
「大石先輩って涙もろいですよね」

あたしはめったに泣きませんけどねえーえへー

「愛子ちゃんも関東大会決勝のとき泣いてたよね?」
「なんで覚えてるんですか」
「みんな覚えてると思うよ」

うっ、恥ずかしいから忘れてほしいんだけどなあ…。あたしあんまり泣かないキャラ貫こうとしてるからさ。特に理由はないけど


すると、不二先輩の技が決まって、越前くんの手に不二先輩の打ったボールがキャッチされていた。えっすごい、どうやってコントロールしたの…!かっこよすぎるよ不二先輩!

「あたしにもあんな技使えるようにならないかなあ」
「特訓あるのみだね」
「やっぱりか」
「なんなら俺が教えてやってもいいけど?」

越前くんは不二先輩から受け取ったボールをあたしに渡した。越前くんのコーチね…まあためにはなるんだろうけど、あたしちょっと付いていけなさそうで心配だわ。テニスの技量はもちろん、精神的にさ…

「うーん、それはちょっとお断りして…」
「練習後ご飯付きなんだけど」
「よろしくお願いいたします」
(単純なやつ…)

2012/07/05