青春を部活に捧げる | ナノ







「なにをしているんだ」
「あ…ぶちょー」
「……お前の部の部長ではないが」


だってぶちょーって呼びやすいんだもん


「呼びやすいというだけで呼ばれては困る」

なんだよこれも喋っちゃったのか。あたしには心がないのか!?


「ラケットを持ってどうした」
「あ、いや素振りしてたんです」
「素振り?テニス部に入るのか」
「…成り行きで」

希望ではないんですよ…はい


「それで越前くんにへたくそ言われてきました」
「そうか…」
「どうしたら素振りが上手くなりますか?」


するとぶちょーは少し黙り込んだ後話を始めた


「素振りというのは自分の中の理想のフォームだ。自分がこのフォームで打ちたいと思ってラケットを振ればそれが自分のフォームとなる。鏡などを見てラケットを振ると自分がどのようにラケットを振っているからそれがいいだろう」









「…ぶちょー堅いですね。もうちょっと軽い感じで『努力しかないよ』とか言ってくれれば返事も返しやすかったんですけど」
「わかった。適当にがんばれ」
「うそですうそですうそですーー!!超参考になりました!鏡見て自分可愛いって思ってます!」
「お前のことは一切言ってないつもりだが」


え じゃあなにについて言ってたんですか!…あ、テニスのことか


「ぶちょー。とりあえずありがとうございます。とりあえずがんばってみます」
「…油断せずにがんばれ」
「うっす!!」


その後あたしは家に帰って鏡の前でラケットを振ったけど、おかげさまで等身大の鏡を割ってしまいました


2010/9/25