青春を部活に捧げる | ナノ



あたし、手塚ゾーンさえ取得できれば、全国1も夢じゃないと思うんです

だってどこにボールを打っても自分のところに返ってくるわけでしょ。それを打ち返せさえすればこっちの勝利だよね。後は相手を翻弄させるか、持久戦でバテさせるかしたら勝てるってわけだし。なんだ、負けしらずの技じゃないか

「そもそも、あんた返ってきたボールを打ち返せるの?」
「なっ…!それなりには打ち返せますよ!」
「持久戦って言っても、愛子のほうが先にバテそう」
「あっあたし体力ありますって!!!」

あたし何周走らされてると思ってるんですか先輩たち!男子の倍くらいは走ってるらしいですよ…それもうあたしテニス部じゃなくて陸上部じゃね?

「ぶちょー…手塚ゾーンをあたしに伝授してくれませんか」
「一生断る」

なんでだ…!あたしが手塚ゾーンを取得できれば、青学女子テニス部を全国大会に導くことができるというのに!!

「それじゃあ今まで以上に練習しないとね」
「愛子、あたしが卒業するまでには取得して全国連れてってよね」
「ま、まじですか…………」

あと一年以内に手塚ゾーンを取得しなければ……!あたしが青学女子テニス部を、全国優勝させなければ、青学の要の意味がない!ということで!

「なにかコツかなにかをおしえてくださ」
「断る」

女テニが優勝できなくてもいいのか!なんだよーぶちょーのけちー。

「まあせっかく間近で手塚ゾーン見てんだから、越前のを見て学んだらいいんじゃねえか?」

桃ちゃんがそう提案するので、あたしは越前くんの試合に集中することにした。それにしても4-0からの追い上げはすごい。やっぱり手塚ゾーンのおかげでここまで追いつくことができてるんだ…

やっぱり手塚ゾーン取得したい!!!!

「ぶちょー…あたし…やっぱり…!」
「危ないっ、照明が…!!」

2011/12/19