青春を部活に捧げる | ナノ





最悪だ。なんてことでしょう。…前にもこんなことあったけど、今回はなんかちがうぞ













風邪ひいてしまった……!!!

絶対きのうの雨のせいだ。濡れて帰ってしばらくぼーっとしてたから、その所為で風邪ひいちゃったんだろうな…。なにやってんのあたし、なに落ち込んでんのよあたし!そうだ、あたしが風邪ひいたのは越前くんがあたしにジャージを貸さなかったせいだ。あーきっとそうだ。でも、今日はまだ準々決勝やってるから……………………見に行きたい

お母さんに熱があるとばれてしまわないように、こっそりと家を抜け出した。なんだか目の前がふらふらだ。バスを乗るにも一苦労だった。それに加えてこの暑さ。悪条件が重なってる。汗が止まらない


「愛子。夏風邪は馬鹿が引くんだよ。知ってた?」

初知りです。ゆーちゃん先輩

「え、愛子ちゃん風邪ひいたの!?」
「えっこんな時期に?」
「めずらしいね、この時期に風邪なんて」
「…油断しているからだ」

みんなあたしのこと馬鹿だって言いたいんですか。だめだ、つっこむ力も出ない…。ぶちょーに夏風邪の恐ろしさを思い知らせてやりたいのに…!

とりあえず、帰りたくないとダダをこねていたら、しょーこ先輩に木陰で休んでなさいと言われて、しかたなくコートから少し離れた木の下で休むことにした




さっきからサーブを打つすごい音が聞こえる。サーブの音しか聞こえないや誰も打ち返してないってこと?すごー…すごいけど今のあたしにはひどい頭痛にしかならない

「ねえ」
「…え」

越前くんだ…………。なんでここにいるんだろ……試合は…まだやってるはずなのに

「夏風邪なんだって?」
「……らしい…よ…」
「きのうの雨がいけないんだよね…?」
「だと思う。越前くんが……ジャージくれなかったから…」
「……………かもね」

……あれ。肯定された。めずらしいな…。越前くんの表情は、帽子で隠れてたうえにぼやけてたから全然わかんなかった。すると、あたしのとなりに、ポカリが置かれた

「それ飲んで、水分とって。風邪には水分とればいいって聞いたから」
「…………あ、ありが…と」
「じゃ…」

なんだろう。越前くんが優しい。風邪ひいてる所為かな…。きっと、そうだな

2011/10/27