青春を部活に捧げる | ナノ



「サスペンデッドゲーム………。どういう意味?」
「一時停止」
「えっ、中止じゃなくて?」

どうやら試合は明日に持ち越されるようだ。へえ、明朝9時から……………………あたし起こされないよね…?7時起きとかそんなことないよね?できればこのままやって欲しいな。じゃないとあたしの睡眠時間がなくなってしまう…!

「コートに入れや!!」

お。どうやら逆越前くん(宍戸さんというらしい)がやる気のようだ!お願い宍戸さん!あたしの朝を守ってください!明日7時起きとか、せっかくの夏休みなのにそんな早起きいやだ!

「行くぞ!」

え。なんか大将が氷帝の人たち連れて帰っていくんだけど…!?ちょっと!帰っちゃだめだよ!なにが雨に助けられただよ。雨のせいで明日の集合時間早まるじゃんか!



「いーよ。やろうよ!」

え、越前くん…。まさか、あたしのために…止めてくれるの…?ふふ、なんか叩かれてるや。だめだ、戦力外だ、あの子


「越前くん、もうちょっとねばってよ」
「なにが」
「もうちょっとねばってくれたら、あたしの明日の……す、い…みーっくしょんが!」
「…ぶっ」

あ。笑ったな、越前くん。あたしのくしゃみ見て。ていうかきれいに睡眠って言っちゃったよ

「うっ、寒い……」
「………………………」
「濡れたからか…。タオルもってくればよかった」

…こういうとき、越前くんのジャージ貸して〜とか言うのが女子なんだろうな…。でも越前くん貸してくれそうにないしなあ…。どうしよ。………ええい、こうなったら一か八かだ



「え、越前くん、よかったら、ジャージ……」



……………あれ?………いない……

そっか。別に彼女でもなんでもないもんね。あたし。なにやってんだろ。桃ちゃんやゆーちゃん先輩みたいに、桃ちゃんがゆーちゃん先輩にジャージを羽織らせてあげる、なんて良いなと思ってたけど、あたしと越前くんじゃ難しいんだろうな…。帰ろ






「あれ……。愛子…?」

「ああ、越前。愛子ちゃんなら帰ったよ?」
「……そっすか…」

俺は、かばんとついでに持ってきたタオルを握りしめた。少し、遅かった……。

2011/10/16