青春を部活に捧げる | ナノ



「ほんとに雨降ってきた…」

え、そんなにあたしの言動は異常だったのか…。えっどうしよどうしよ…。あたし自分が怖くなっちゃったよ。どうしよ、あたし、雨呼んじゃったよわああ!


「越前くん、あたし、神になれるかもし」「絶対無理」「ちょっと待ってええ」

なんであたしが言いかけたと同時に言うの。ちゃんと言わせてよもう!越前二言目には大概「無理」だからほんと困る…!あのときの告白を思い出してしまったじゃんか…せっかく心の奥底に封印してたのにさ…。あたし、目の前のことにしか集中しないから、過去のこととか振り返るタイプじゃないんだよね…。ってことをゆーちゃん先輩に言ったら、あんたはポジティブなのね〜って頭を撫でられた。えへへ


「それにしても…ぶちょー、こんな雨の中すごいですね」
「………このくらいはがんばってくれないと」

……え、しょーこ先輩、鬼ですか…?ぶちょー、十分がんばってると思うんだけどなあ…。ていうかこの二人、なんかあったのかな。乾先輩ならなにか知ってるかも…

「いや。今のところ、九州に行った手塚の情報はまだ得ていない」
ちっ なんだよ使えねえな。
「おい今なんか先輩に向かってひどく失礼なことを心の中で言わなかったか?」
「やっだ気のせいですよ〜!」

「だが確かに、手塚と山田の仲は思わしくないな。手塚のやつ、九州で別の女でもできたのか…?」
「えっ、ぶちょーに限ってそんな女がホイホイできるとは思えないですけど…」
「いやいや、あいつは案外女にはモテるぞ。顔はいいからなあいつは」
「愛子、乾くん、ちょっと黙っとこうか」
「えっ」

……え?もしかして…図星……?



「しょーこ先輩、濡れますよ。あたしの傘入ってください!」
「ありがと、ゆーちゃん。傘なんてよく持ってたね」
「折り畳み傘です」

しょーこ先輩とゆーちゃん先輩は年は違えど仲がいい。お互いキャプテンだからかな…。あ。ということは、あたしはこの現旧キャプテンと仲がいいから、次期キャプテンはあたしってことになるのかな…!?わーい!これで青学の要っていう役割が果たせるよ!

「ていうかゆーちゃん先輩。なんであたしには傘ないんですか」
「は?あたしとしょーこ先輩で満員だからあんた入れないでしょ」
「いやもう入れてくれないとあたしびっしょびしょで、服が気持ち悪いんですけど…!」
「我慢しなさい。男テニのみんなも濡れてるでしょ!?」

だからあたし男子テニス部員じゃないんだってば!なんでこの扱い!?あたしいつから性転換しちゃったんですか!?

「しょーこ先輩。やりましたね。手塚先輩」
「………うん。ぎりぎりだったけどね」

「…しょーこ先輩、ぶちょーに浮気でもされたんですかぼうふおわ!!!」

あたしがしょーこ先輩の顔を覗いて聞いてみると途端に突き飛ばされてしまった。思いっきり転げてしまったよ、痛い…

「愛子、それ以上口開いたら、雨の中会場走らすよ?」

こっこわい…。しょーこ先輩お怒りだ。そんな。二人の間にいったいなにが…!?


2011/10/10