青春を部活に捧げる | ナノ







「誰だ?制服で素振りしてるやつ」
「あの入部届の子じゃん〜」
「あ、ほんとっすね」
「入部届の子?」
「すごいんだよ大石!あの女テニとの喧嘩に割り込んで入部届を撮りに来たんだよその子!」
「喧嘩って…また女子と喧嘩したのか?」
「とにかく、面白い子なんだよ」










はずかしい
みんなユニフォームとか可愛いの着ちゃってるのに一人だけ制服ってなに。あたし今日部活しない気でいたのにまさかの出来事!はーあ。今日はついてないなあ


「愛子ちゃん…ユニフォームないの?」
「あるけど忘れたっていうか持って来る気なかったっていうか」

苦笑するあたしに桜乃ちゃんはえ?って困った顔してる。ほんとはテニス部入る気ないんだよーなんて言えないし…。なんて考えてラケットをぶんぶん振ってたら



「ひざ曲げすぎ、ひじ曲げすぎ、アンタら下手。ついでに制服の方は下手すぎ」


えちぜんくん が あらわれた


「…はああ!?」

制服ってあたししかいないじゃないか!

「下手って、あたしのどこがヘタなんだ!!」
「馬鹿力でぶんぶん振ればいいってもんじゃないでしょ」
「しょーがないじゃん!あたしテニス初心者なんだから!」
「じゃあ誰かに教えてもらえば?」

越前くんは教えてくれないのか!

「教える時間がもったいないじゃん」

あーもうくそ!また喋ったじゃねーか心の中で文句言おうと思ったのに!もしかしてあれか!?読心術とか使ってんですか!?

「いやもろに声に出してるだけだから」

「あたしのばか!」
「愛子ちゃん…!」

おおっと桜乃ちゃんに迷惑かけるわけにもいかぬ。でも越前くんにバカにされるのもいかぬ!

「くっそ帰国子女め!おぼえてろおお!」

そう言ってあたしは逃亡した


「まだまだだね」



2010/9/25