青春を部活に捧げる | ナノ




そのあと四天宝寺の人たちに誤解を解きに行って、その時にはぶちょーの試合も終わっていた。みんな、帰る支度を始めたころ、越前くんの姿が見えないことに気付いた。越前くんを探すうち、ぶちょーと不二先輩を見つけた。そしてその向かいに越前くんもいた

「奪い取るっす。あんたから」

越前くんはいつもの勝ち誇ったような顔をかまして、その場から去って行った



「…なにを奪回宣言されたんですか?」
「…青学の柱だよ」

ぶちょーより先に不二先輩が教えてくれた。あれ?柱って、まだぶちょーのだったの…。あ、柱といえば


「九州に行く前、あたしに青学の要になれっていいましたよね?」
「………………」
「…要の意味を教えてください」
「辞書を引け」
「…………」

ぶちょーのメガネが光り、不二先輩がくすっと笑う。あたしはまだ、要というものを理解してなかった。越前くんは柱を理解してるのに、あたしは理解してないのがなんだかもどかしくなって、顔をふくらませた。捨て台詞は「九州に帰れ!」だった






「…おかえり言うの遅くない?」
「は?てかあんたどこに行ってたの?」
「え。ちょっと前に戻ってたよ。越前くんたちがぶちょーの進化を見てる間に帰ってたからね。気づいてなかったけど」

越前くんは、すたすたとあたしの前を歩いて、あたしの声だけを聴いていた

「ねえ、越前くん、要ってどういう意味か知ってる?」
「辞書引けば?」
「……………」

こいつ…さっきの話聞いてたな…

2011623