青春を部活に捧げる | ナノ



くそう。比嘉のガードは案外強すぎることに気付いた。どうしよう。ボールは依然として比嘉中のベンチにあるまま。仕方ない。ここは強行突破でいこう

「ぬおおおおおおおおお」
「あっあいつまた来やがった!ベンチに入ってくるぞ!」

よし!なんとかベンチに入った!ボール、ボール、ボール!

「なんばぁ?このチビ」

…あれ、なんか持ち上げられてる気がするんですけど。なにこれ。なんかあたし身長高くなってるんですけどまじでか!やった越前くんを超えられたぜと思ってたら背の高い、えっとたしかタカさんと不二先輩と戦ってた人にユニフォームを引っ張られてた。いやこれ首が締まるんですけど…ぐえ…てかお腹見えちゃうからやめてえええ

「あ、知念さん!そいつ青学のやつです!」
「俺らのことスパイしにきたんやっさー!」
「スパイ?」
「ぢょ、苦しい」
「ああ、すまんすまん」

やっと解放された。…と思いきや、ベンチの人たちの視線が痛い。比嘉中こわい

「部外者がこんなとこに何の用さー?」
あ。甲斐さんだ
「ちょっとボールを取りにきたんです。そこにあるやつ」
「あ?これのことさー?」
あ。金髪の…ヒラコバさんだっけ?
「そう!それですそれです!あの、あたしのボールなんで返してくれませんか」

「これ、さっき監督に当てようとしたボールじゃね?」
「そうそう。あの帽子のやつが打ってきたやつさー」

「へえ、さっきの」
「ね、お願いします。監督さんに当てようとしたのは越前くんであってそのボールにはなんの罪もありませんから。お願いします」
「おうわかった」

そう言いながらヒラコバさんはあたしにボールを渡そうと してボールを宙に上げラケットで打ち始めた。って、ええええええなにしてんの!?

「ほーら取ってこーい」
「ちょなにしてんですか!あたしのボール!!!」

あたしは全速力で立ちはだかる比嘉中たちを潜り抜け、飛んで行ったボールを探しに走って行った。

「ふう。これで邪魔者はいなくなったさー」
「さすが凛」

どこがさすがなんだおい

2011525