青春を部活に捧げる | ナノ




「えーじせんぱーーい!!がんばれえええ!!」

あたし、上原愛子は、二人の英二先輩に感激してます。甲斐さんもすごいけど、やっぱ英二先輩かっこいいよ!明るい英二先輩が好きだああ!

「先輩!もとに戻ってよかったです!!」
「え?もと?なにがー?」

英二先輩は大石先輩とも仲直りしたみたい。黄金ペア復活!おめでとうございます。これで大石先輩の病気がなくな…いやいやいや大石先輩が元気になるよ。

いいなあ、あたしもダブルスやりたくなってきちゃった…。だれか一緒に組んでくれる人いませんか。越前くん…?だめだめだめ。あの人協調性まるでないから。え?むしろあたしじゃないかって?うふふ〜泣いちゃうぞっ


「ていうかあたしのボール!!いつになったら取りにいってくれんの!?」
「まだ言ってんの」
「だぁってあれあたしのお気に入りボールなんだよ!?取りに行くのが筋でしょ」
「めんどくさ」
「めんどくさくない!!」

だいたいなんであたしのボールを打つかね?あたしはてっきりボールでお手玉するのかとばかり思ってたのに。ボールを持って打たないやつはいない? だ ま れ テ ニ ス バ カ

「もういい!あたし取ってくる!」
「いってらっしゃーい」

腹 立 つ − ! 後ろでひらひらと手を振る越前くんを憎たらしく見ながらあたしはダッシュで相手側のコートへと走って行った










「…………」
「……………」

どうしよう。思いっきり見られてるんですけど。比嘉側のベンチに行ったはいいものの、視線が痛い。そりゃそうだ。この群衆の中を今まさに潜り抜けているのだから

「なんばぁ?このチビ」
「迷子か?」
「いや、こいつ見たことあるぞ」
「あ、こいつ青学側に座ってたチビだ!!!」

バ レ タ あ あ あ あ !

「ちょっちがうんです!あたしはボールを取りにきただけで…!」
「青学の女がなにやってんさー!」
「スパイしにきたに決まってるさー!」
「追い出せー!」
「ぎゃあああ」




「愛子ちゃん、見事にみつかっちゃったね」
「……馬鹿っすから」

2011510