青春を部活に捧げる | ナノ



「…ゆーちゃん先輩、桃ちゃんと付き合ってるんですか?」
「そうよ。あ、全国大会、あたしも武ちゃんの試合見に行くから」
「…わかりましたたけちゃん!?」

なんと、あたしがいない間にゆーちゃん先輩の恋が叶っていた。まじでか。あれ?前にあたし、ゆーちゃん先輩の恋を手伝うとか言ってたのに、なに?いつの間にかゴールイン?え、いつから付き合い始めたんですか?

「うーん、関東大会決勝後くらいかな…?あたし、思い切って告白したの。そしたらね、武ちゃんも、あたしのこと好き…って!」
「へー」
「あんたちゃんと聞いてんの!?」

はいはい聞いてますよ。なにがこんなに聞く気が失せたってね…あたしが先輩の恋のキューピットになれなかったってことだよ…。あたし決勝の後なにしてた…?…あ、越前くんに追い詰められてたわ




「あでぇっ!」

いたっ!まじいたっ!なんだ!?いきなりあたしの顔にテニスボールがクリーンヒット。なんかデジャヴ。前にもこんなことがありましたな

「なんであんたはいっつもそこにいんの」
「あ、やっぱお前か越前くん」

やっぱり越前くんが打ったサーブがあたしの顔に当たったんだ。痛い。ほんとに痛い。ていうかまたそのサーブ練習してんの!?この痛すぎるサーブ練習

「それはあんたが当たりに来るからじゃん」
「ちっがうよ!ボールがあたしに当たりに来てるんだよ!」
「もういいよややこしい」

「で、部長決定戦はどっちが勝ったの?」
「え?………前のぶちょーなんじゃない?」
「あーそうなの。えーなんかおもしろくないな。胃腸が弱い部長でも良かったんだけど。ていうかなんでそんな嫌そうなの?」
「いや、べつに……」
「あ。わかったー。賭けが外れたとか?」
「なんで知ってんの」
「ん?あたしの地獄耳をなめちゃ困るよ越前さん」
「堀尾か」
「ご名答」

また余計なことを…と越前くんは愚痴りながら散らばったボールを拾い集めてた。あたしもそれを手伝うように自分に当たったボールを越前くんに渡した

「あっ、ねえ知ってる?桃ちゃん、ゆーちゃん先輩と付き合うことになったんだってさ!びっくりだよね!」
「それ、この前から散々聞いてる。なんかもう聞き飽きた感じなんだけど」
「え、それって桃ちゃんが惚気てんの?まじでか」
「次の全国大会も見に来るから楽しみだ〜って言ってた」
「関東大会に来てたのにね」

全国大会はにぎやかになりそうだ

2011/3/4