青春を部活に捧げる | ナノ



「全国大会の会場?」

『そ。桃先輩に見に行けって言われたから、あんたも見に来ない?』
「いいよ。…でもなんであたし?」
『いいじゃん。あんた暇でしょ?』
「……まあ暇ですが」

ということで、越前くんに誘われ会場を見に行くことになりましたが







当然のこと遅刻してしまうわけで。
やばいやばいやばいー!あと一分でバスが出てしまう!あれ一本で会場にいけるのに!あれ逃したらあたし迷子になる以外選択肢がございません!

「あっ!越前くんだ!越前くんにバスを止めといてもらおう!えちぜんくーーん!」

あたしの声を聞いて越前くんは一度振り向いてくれた。しかしバスはそのまま動き出した。えっ、あれ絶対気づいてたよね!?なんでバス止めてくんなかったんだ!ええ!?

「ちょ、バス!「そのバス待ちぃやあああ!!」

………ん?
あたしと同じくバスを追いかける少年がいた。彼は綺麗な赤い髪にヒョウ柄のタンクトップを着ていて、なんとも派手な彼は歩道を走るあたしと裏腹に道路を走っていた

「え、君もバス追いかけてんの!?」
「ん?なんや君もバスに逃げられてしもたん?」
「ま、あ…そんなとこ!」

彼は大声にも関わらずあたしと全速力で走っていた。なんか、体力ある子だなあ。あたしも体力だけは自信あるけどね。でもさすがにこの距離から話すのは難しいから道路に出て走ることにした。もはや駅伝

「あれ…君もテニスやってんの!?」
「おう!わい、大阪の中学校でテニスやっててん」
「大阪!?へえ〜!もしかして全国大会に?」
「せや!遠山金太郎いいますねん。よろしゅう!」
「あ、あたし…上原愛子!」
「愛子かあ〜!愛子はバス乗ってどこいくん?」
「えーとね、会場!」
「なんやわいと行くとこ一緒やん!」
「そーなの?遠山くんも?」
「みんなと待ち合わせしてん…てか、金ちゃんでええで!みんなもそう呼んどるし」
「わかった!」

そんな会話から始まって、途中車の窓からあたしたちをガン見してる人たちがいたけど気にすることなく信号に引っかかるまで走り続けた

「お!愛子!バスに乗れるで!」
「ほ、ほんまや!乗ろう乗ろう!」

金ちゃんの関西弁が移ってしまった。だけどやっとバスに追いついてあたしたちはバスに乗り込んだ。だけどバスが動いてすぐ会場を通り過ぎたことに気づいてあたしたちは慌てて降りた

2011/2/3