バレンタインデーキッス! | ナノ

どきどき、どきどき…
胸の高鳴りが止まらへん。

「ユウジくんチョコあげる〜」
「いらん。俺が欲しいのは小春のだけや」
「えーなんでーな。もらってくれたってええやん」

3年のフロアに来るのだけでもすごい勇気必要やったけど、こっから先もとてつもない勇気がいりそうや…。ていうか女の子多っ!え、ユウジ先輩あんなモテとったん!?先輩には悪いけど意外や!


「小春〜!なんか女共に追われるんや!助けてや!」
「そのまま女の子に追いかけられとれ!アタシに助け求められても困るわ!」
「小春ぅ〜」

放課後になってもユウジ先輩には近づけそうに無い。ユウジ先輩は小春先輩追いかけてるし、ユウジ先輩は女の子たちに追いかけられとる。なんやあれ、コントか?なんにせよ、またあたしの入る余地は無さそうや…

どないしよう…このままやったら今日はユウジ先輩にチョコあげられそうにない…。あげれるとしてもユウジ先輩はチョコを受け取ってくれそうにないし…。まずあたしにその勇気がない

せやけど、どうしても諦め切れんあたしは、校門でユウジ先輩を待つことにした。待ったところで、どうにかなるわけでもないし、第一こんな草むらにユウジ先輩は現れんやろうな…。やけど照れ屋さんなあたしはここに隠れるしか待つことができひんかった

「はあ〜…」「はあ〜…」

…………?ため息が同時に…?不意に隣を振り向くと探していたユウジ先輩があたしと同じように草むらに隠れていた

「あああ!ユウジせんぱぶほっ」
「阿呆!でかい声出すな!」
「…………」

ゆ、ユウジ先輩の手があたしの唇に…!という近距離にあたしはくらくらして、声も出せないから呼吸もままならなかった。ユウジ先輩はユウジ先輩で女の子たちが去っていくのを静かに見つめていた

「…行ったか…。はあ、ほんましつこいやっちゃなあいつら。…で、なんでお前こんなとこにおんねん?」

ようやく口の自由がきくと、今度は答えに戸惑うことになった。ユウジ先輩を待ってた、なんていえないし、ここでこっそりチョコを渡すのもなんかな…

「え、えーっと、かくれんぼです」
「……はあ?」

…しまった!なんか逆にアホな女って見られてしもた!え、え…これからどないしよう!すると急に顔が赤くなってしもて、ユウジ先輩の視線からはずした

「…お前、俺のことずっと見とったやつやろ?」
「………え?」

「顔真っ赤にさせて、俺が女に囲まれとる時も、小春を追いかけとる時も、ずっと俺のこと見よったやろ?」

げっ、なにもかもユウジ先輩にばれてた!どないしよう…。ああ、また顔が真っ赤に…!あかん、ユウジ先輩の顔見れへん。せやけど、これはもう言うしかなさそうや…

「えっと、ユウジ先輩は、チョコはいらんみたいですけど…あたしのだけでも、もらってくれませんか?」
「…………」
「い、いや、嫌ならいいんです!その…精一杯つくったんで…」

あたしはユウジ先輩の顔を見ずにチョコを渡す手だけ先輩に向けた。これが精一杯の努力。あたしの勇気ってちっぽけすぎて笑えへん…


「人にものあげるときは顔見て渡せって、母ちゃんに言われんかったか?」
「…え。あいひゃ!」

ユウジ先輩の低い声が聞こえたかと思えば、いきなり頬をつかまれて強引にユウジ先輩の顔面近くに顔を持ってかれた

「あっ…!ゆ、ユウジ先輩…!」
「はは、顔真っ赤や」
「ちょ、からかわんといてください!」
「なんやその元気があるなら普通にチョコ渡せばええねん」

からかうユウジ先輩にあたしははっと気づく。ユウジ先輩が今日一度も見せなかった笑顔をあたしに向けていた

「その元気に負けて、チョコもらっといてやるわ。他の女はなんや軽すぎて愛情が足らんように思えたからもらわんだけやったけど、お前のは愛情たっぷりそうやしな」
「…そ、そうですよ!他の子より百倍愛情込めてんですからね!」
「なんやさっきの照れ屋はどこいったんや?おもろいやっちゃな。おいしゅういただかせてもらうわ」

@392さん
バレンタイン企画参加ありがとうございます!海堂か一氏ということで一氏のほうを選びました。一氏はたぶん初めて書いたかな…。どこかひねくれてて小春ラブな一氏を楽しくかけてほんとよかったです!照れ屋な彼女にも力入れてみました^^ 楽しんでいただけたら光栄です。これからもyouをよろしくお願いします
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