バレンタインデーキッス! | ナノ

全国大会で有終の美を飾った彼は以前とはまるで違う人になってしまったように周りの女の子にちやほやされるようになった。体育なんかでリョーマがバスケなんかしてるだけで、リョーマく〜んと甘えた声をかける女子が多い。正直、イライラする(もちろんそこは女特有の笑顔で言います)

「リョーマく〜んチョコ受け取って〜!」
「あたしもチョコ作ったの〜!よかったら食べて〜」

朝からリョーマは女の子に追い掛け回されまくりだ。だけどあたしは知ってる。リョーマは簡単に女の子からチョコをもらったりしない。今のところ誰ももらってないらしい。だけど、そんなこと知ってるだけじゃあたしも彼女たちと状況はまるで変わっていない。唯一リードしてるといえば、あたしがリョーマと幼なじみだということ

「…まだいたんだ」

夕暮れ時、リョーマのかばんは無いけど、ぼーっとしてたら偶然にもリョーマはやってきた。本人は竜崎先生に呼ばれたとか言ってるけど、実際は女の子達から逃げてたんだと思う

「まあね。リョーマは?今から部活?」
「…いきたくないけど、部活」
「女の子たちたぶん待ち構えてるよ。がーんば!」
「…人事だと思って…」

リョーマ自体は変わってない。いつもと変わらない。周りが変わってしまっただけ。でもあたしにはそれが一番もどかしくて、切ない。リョーマが、どんどんみんなのものになっていってしまう…。そんな気がして

「ねえ」
「え?」
「今年はくんないの?」
「…はい?」

なにをかと聞くと、リョーマは拍子抜けした顔をした。なぜ、とでも言いそうな顔だ。いや、なぜって聞きたいのはこっちの台詞だ

「だから…今年はチョコくれないのかって聞いてんだけど」
「………え、え、なんで?」
「毎年くれてたじゃん。ほら」

チョコを欲しがるように左手を差し出すリョーマ。確かに、今年も忘れずにつくってきた。だけど今年のリョーマの人気を見て、怖気づいてしまったのかあげられるか分からなかった

「今年は…いらないのかと思った…」
「…いらないわけないじゃん」
「…なんで?」
「あんたのチョコ…俺好きだから」
「………もっかい言って?」
「…好きだから」
「もっかい」
「しつこい」

…怒られてしまった。でも、うれしい。リョーマが唯一あたしのチョコだけもらってくれたこと。どうやらあたしのチョコは甘すぎないから好きなんだって。そりゃあそうでしょ。何年あたしと幼なじみやってんの。リョーマの好みなんて、すでに熟知してるんだから

@欄さん
今回はバレンタイン企画に参加していただきありがとうございました。シチュエーションを詳しく教えていただき、嫉妬する彼女を書くことができました。小説も気に入っていただけたようで…!嬉しい限りです!最近はインフルがまた流行りだしたので体を気をつけていきたいと思います!ご心配ありがとうございました
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