バレンタインデーキッス! | ナノ

「仁王先輩!チョコ受け取ってください!」
「………すみません。私は仁王くんではありませんが…」

おどろいた。まさか俺のイリュージョンを見抜く奴がいたとは。俺は今、柳生の変装をしたまま丁重に断った。そいつは…名前は、名字名前とか言ったな。名字は柳生である俺に焦りながら謝り、ぱたぱたと走って逃げていった

まあ、どうせ柳生が俺かと思ってたまたま当たっただけじゃろうと思っていた。そう、単なるまぐれ。かと思っていたら、こんどは幸村のイリュージョンをしとる時にもそいつはやって来た

「ごめんね、俺は仁王じゃないんだ」
「えっ、そうなんですか…すみませんでした!」

赤也に変装したときも

「俺仁王先輩じゃねーよ?」
「えっごめんね!じゃあ」


全部あたっとる……。なんでじゃ?なんでこいつには俺のイリュージョンが分かったんじゃ?まぐれにしてもおかしすぎる。しかも変装するときに限ってそいつは必ず現れた


「のう」
「あっ!仁王先輩!チョコ受け取ってください!」
「……名字、」
「なんですか?」
「なんで俺の変装が分かったんか?」
「…知りたいですか?」
「おん」
「あたし、ここでは秘密なんですけど、魔女なんです。それで、魔法で仁王先輩の変装を見破ったんです」
「魔法?」
「見ててくださいね」

すると名字はチョコを受け取れといいながらなにも持っていない手から、チョコの入っている包みを出現させた

「………ね?信じてくれました?」
「はっ、ばればれの手品じゃろ」
「やっぱりばれました?さすが仁王先輩。よかったらチョコ、受け取ってくれませんか?」
「……変装を見破ったことには降参じゃ。仕方ないから受け取ってやる」
「ありがとうございます」

「で、俺の変装は、どんな魔法で見破ったんか?」
「ああ、それはですね…」

名字は俺の背後にまわって背中からなにかをはがして見せた

「じつは、ハートのシールを上着の後ろに隠してただけなんです」
「ははっ、参った。お前さん、魔女の見込みあるぜよ」
「先輩に言っていただけて、嬉しいです」

@りなさん
今回はバレンタイン企画に参加していただきありがとうございます。憧れの仁王先輩にチョコを渡すということで書かせていただきましたが気に入っていただけたでしょうか?仁王の変装が見破れたらきっと仁王は気づいてくれるだろうと思い、仕掛けてみました(笑)これからもそんな仕掛けをしながら書いていきたいと思います
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