「でっ、結局のところ、コシマエとはどない関係なの?」 「はっ!?」 小春さんの打ったボールは空しくもネットにかかり、相手コートに落ちることはなかった。いきなりそんなこと聞いてくるなんて反則でしょう小春さん…。 「で!どうなのようっ愛子ちゃん!」 「俺ら気になって気になって夜もおちおち寝られへんねん!」 「それは大げさすぎでしょ」 「愛子ちゃんええツッコミや。関西人顔負けやで」 謙也さん?(というらしい人)に軽く言い返すと、白石さんから褒められてしまった。それよりもまず、なぜあたしがここで四天宝寺の人たちとテニスをしているか、ということですが。話せば長くなるんだけど、要はこの人たちに拉致されて東京観光をする羽目になってしまったということです。で、なぜか東京のテニスコートでテニスがしたいと言いだして、関西のテニス馬鹿さんたちと一緒にテニスしてるんです。 「越前くんとは、べつになんにもないですよ。ただの犬猿の仲です」 と、あたしは前々からずっと、ずっとずっと言っているのに、この人たちは聞く耳も持たず、「んなわけないやん!」「ずっとコシマエの隣占領しとって、なんも進展がないわけがあらへん!」などと勝手なことを言うんです。なんだろう、今までにないタイプだ。立海の人たちもこういうとこはあったけど、ここまでしつこくは聞いてこなかったからなあ。 「なあなあ、愛子とコシマエの話はええからテニスしよーやー」 唯一救いの神といえば、金ちゃんなんだけど、金ちゃんとテニスするとまずテニスとして成り立たないんです。金ちゃんの打球が強すぎてあたし返せない…。結局金ちゃんは銀さんというお坊さんとテニスをし始めて、その間あたしはその他四天宝寺の方々に囲まれているわけです。 「というか、そんなコシマエと仲ええんすか?こいつ」 …なんだか、初対面の人にこいつ扱いされてしまった。だれだ、この人は。ピアスは校則違反ではないのでしょうか。ついピアスの人を凝視していると、なんや、と睨まれてしまった。こえぇ。 「そりゃあもう仲ええどころの騒ぎやないで!」 「せやなー。試合観戦でもばっちり隣おったしなあ」 「ファンタもおごるほど仲ええって噂やし」 最後のやつちがいます、おごらされているんです!それなんかあたしが好き好んでおごってあげてるみたいじゃん!ちがいますからね?もちろんこれもちゃんと訂正しているんだけど、誰も聞いちゃいない。白石さんに心配そうな顔で「女の子があんまホイホイ男に貢いだらあかんで?」となぜか諭されてしまう始末。 「まああたしから言えば、愛子ちゃんとコシマエは、いわゆる男女の友情ってやつやんなあ」 「ダンジョンの友情?」 「謙也くん、冒険してどないするの」 「男女の友情?」 「そう!もっと言うと友達以上恋人未満ってとこやねぇ」 それは一回しょーこ先輩に言われたことがある。あんたと越前くんは、一歩踏み出せば恋人になれるんじゃないか、と。一歩って、どうやって踏み出したらいいんだ。まったくもってわかりません。 「でもね愛子ちゃん、男女の友情なんてこの世には存在せぇへんのよ?」 「え」 「せや!男同士の友情も存在せぇへんねん!なあ小春!」 「ユウくん黙って」 つまり、越前くんとこのままの関係は続かないということ、か。ふうん。そうだとしたら、あたしと越前くんは一体どんな関係になってしまうのだろう。想像もつかないや。あたし的には今の関係が続いてほしいと思うけど、そうもいかなくなっちゃうのかな。 「さ、そういうことやから、さっそくコシマエにラブラブアタック作戦を立てるわよー!」 「おー!」 とりあえずこの人たちから逃げたいです。 2012/11/02 蓮さん、この度は青春フリリクにご参加くださりありがとうございました。執筆が大変遅くなってしまい誠に申し訳ないです。心よりお詫びいたします。蓮さんから四天とテニスをするというリクエストをいただいていたのですが、ものの見事に数行でテニスやめてます。申し訳ないです…!どうしても小春ちゃんが越前くんと主人公の関係を深く聞いてくるだろうなと思って恋バナメインにしました。正直、四天との絡みを連載でも書いていないのでどうしようか悩んだのですが、このフリリクで上手くイメージが固められそうで、いい経験になりました。これからも青春を応援してくださるとありがたいです。ありがとうございました。 |