「なんだお前。発情期ですかィ」 おかしな天人に出会った。じーっと見つめていると思いきやいきなりタラコのような真っ赤な物体を顔に近づけてきたもんだから俺はその場で思い切り蹴った。なんだこいつ。発情期か?あ。二回言った 「じゅらるー…」 「あ?キスさせてくれ?馬鹿言ってんじゃねェ。なんで俺がそんなことしなきゃなんねえんでィ」 「じゅら〜…」 涙目に潤ませるこいつは俺にせびるように足にしがみついてきた。 「なんでィ。離しやがれ気持ち悪ィ」 「じゅら〜じゅらる〜」 「てめーも往生際が悪いんでさァ。なんで見ず知らずのモンスターにキスしなきゃなんねーんでィ」 「じゅ〜ら〜」 「……は?」 そいつが言うには俺に惚れたとか、はっ、俺に?一目ぼれってやつですかィ。うわ超めんどくせェ。つーかほんと離せよ。こういうときは普通俺じゃねーだろ土方だろィ。土方んとこ行っていちゃこらしてこいや 「じゅら、じゅら、じゅら!」 「なに?キスしないと元の姿に戻れない?馬鹿いってんじゃねえやィ、どっかのおとぎ話か。一生そのままでいろや」 「じゅら!!」 「ぐぼはっ」 なんてやつだ…。足にしがみつくのをやめたと思ったらいきなりタックルしてきやがった。おかげで俺は数十センチ飛んだ後地面に倒れこんだ 「なにしやがんでィ!ぶった斬るぞ」 「じゅららら!」 「なに某アニメっぽく言ってんだよ逮捕すんぞ」 いつのまにかモンスターは俺に馬乗り状態。なんだこれ。これじゃあ俺Mじゃねーかィ。ふざけんな。ていうかこいつ、見かけよりすげー重い。なんだこいつダイエットしたらどうなんだィ 「いいから降りろ。そのとがった口を斬られたくなかったらな」 「じゅらる〜〜」 「うわっやめろお前きしょいから!わかった!やる!やるから!」 ちっ、しかたねえ。俺は女にキスされるよりする派だから。こういうのは性にあわねェ。ものすごく不本意だが、俺は決心した。とりあえずモンスターを俺の上体からどかせて、改まって体勢を整えた 「……」 「……」 目を閉じて待機するモンスター。俺はそっと顔を近づけ、唇を近づけようとする。そして、俺は気配を消し、徐々にモンスターから距離を置きながら逃げた 「だあああっ!わかった!わかった!わかったからついてくんなー!!」 「じゅらーーーー!」 俺が逃走したのに気づいたモンスターは俺を見失うことなく追いかけてきた。見かけによらず足の速いモンスターに、俺は意図も簡単につかまってしまい、口付けを食らうのだった 「……元に戻んねぇじゃねえかィ」 「…じゅら〜」 「なに?もっとキスが必要だ?…俺はもうやんねえからな」 「じゅら…」 「あ。そうだ。ついてこい」 「じゅ?」 俺はモンスターの手を引き、歩き始めた 「これからお前が元に戻れるくらい男が集まってるとこに連れていってやりまさァ」 「じゅらっ!?」 「だから、安心しろィ」 あれ?なんか俺、さっきより優しくなってね?おかしいな。こいつとキスしたからおかしくなっちまったのか?んなわけねーか。でもどことなく気分がおかしくなっているのは確かだ 俺はそいつとのキスを、あくまのキッスと名づけた 2011/2/27 企画「怪獣と君」様 提出 |