100000 | ナノ


我が青春学園中等部硬式男子テニス部には、冷徹鬼の部長手塚国光を筆頭にさまざまな部員がいるのですが、中でも一番優しいと言われている青学の母、大石秀一郎さん。青学の母とかさ、超やさしいイメージじゃない?聖母的なイメージで。ところがですよ。この青学の母、中身はとんでもびっくり箱で、まあとりあえず後の言葉を聞いてください

「グラウンド100周行ってきてね」

それもう部長の特権………………!!!なぜあたしがこんな仕打ちにあっているというとですね、大石先輩の髪型について語っていたんですわ。大石先輩の髪型はないわーとか言ってて、そしたら一緒に語っていた友達の顔が急に青ざめ、後ろを振り向いてみたら、こりゃ大変、大石先輩だわ。となって、先ほどのセリフ。いやあたしが悪いのは百も承知なんですけど

「な、なんでですか!」
「当然だろう。こんなに屈辱的なことはないよ」
「か、髪型の話をしてただけです!」
「『大石先輩の髪型はないわー』」

それは、さっきあたしが言ってた言葉……だめだこれは。腕組みをして立ちはだかる大石先輩からあたしは逃げられそうになかった。

「い、いや、えっとですね、どうしてその髪型にしたのかなーって思いまして」
「好きだからに決まってるだろ?」
「へっへえ…!なかなかのいいセンスで…!」
「さっきはナイとか言ってたのにね」

だめだわもう、何言っても言い訳にしかならない…!友達ももうあきらめなよという目であたしを見てくる。やだなにこれつらい

「でっでも大石先輩顔はかっこいいですよ」
「は…………」
「髪型、今でもいいと思いますけど、変えたら絶対今よりモテますよ」
「…………………………」
「………大石先輩?」


「そんなこと言ってグラウンド走るの逃れようとしたって無理だよ?さっさと走ってきなさい」
「ちっちくしょー!大石先輩のばか!!!」

あたしは監視している大石先輩の無表情の顔を尻目に泣きながらグラウンドへと走って行った。


「あれ、大石先輩、顔が赤いですよ?」
「………なんでもないよ」


2012/05/13
本当に遅くなってしまって申し訳ないです。本当は大石先輩の誕生日ネタを書こうとしてたんですが、なんだかんだ日常的なことになっちゃった。でもちょうど母の日だからよしとする!ダークな大石先輩、すきです(笑)