ひたすら越前くん! | ナノ


「ええっ!?来れなくなった!?」

突如、ドタキャンされました。越前くんに











……だったらよかったのにね。

「なにしてんの。バス乗るよ」

バス乗り場にて越前くんに友達が来れなくなったことを報告したのだけど、ふーんの一言だけ片づけられてしまった。そして越前くんに急かされてしぶしぶバスへと乗り込む。越前くんはこんな状況にも関わらず、なぜか楽しそうに見える。本当に温泉好きなんだな…この人。見かけによらず

…て、越前くんが温泉好きなのは別にどうでもいいんだよ。問題なのは、今現在の状況。このままでは私は、そんな対して仲良くもない越前くんと一夜を過ごすのだと思うと、帰りたくなってしょうがない。あたし、越前くんと普段話したこともないし、話題豊富なわけでもないから沈黙が訪れるのがとてつもなく怖い

「…緊張してんの?」
「えっ…!?いやあ、そんなこと、ないよ?」
「あっそ」
「…………………」
「…………………」

………………恐れていたことがさっそく起こってしまった。もういや、帰りたい。この空気死んでしまう

「あの、さ」
「えっ…?」
「二人だけだからって、緊張とかしなくていいから。あんたと話すことはあんまないけど、部屋だって、別々なわけだし。その…気にしなくていいから」

そう言って窓の手前で頬杖をついて外を眺める越前くん。これは、私は、なだめられているのでしょうか…。今日は、本当に意外な越前くんがたくさん見ているような気がする

『皆様長時間お疲れ様でした。まもなく皆様がお泊りになられる旅館へと到着いたします』

2011/10/08