愛子ちゃんシリーズ | ナノ


今日はケーキバイキングが半額の値段になってて、部活帰りに越前くんを誘って(強制連行して)ケーキバイキングにやってきた。部活終わりもあってか、あたしと越前くんの食べるペースは桃ちゃん顔負けだった

「……で、あんた、なんでさっきからパスタばっか食べてんの」
「んえ?なんでって…ここのパスタおいしいから」
「ふつうケーキバイキングなんだからケーキ食べるでしょ」
「そういう越前くんこそさっきからサラダばっかだよ」

「………………」
「………………」

あたしたちはフォークを進める手を止めた。そう、あたしたちはケーキバイキングなのにも関わらずさっきからケーキバイキングとは離れた料理のほうを食べている

「…もしかしてさ〜、男の子だからって甘いもの食べるの苦手とか〜?いるよね〜そういうぶちょーみたいなお堅い男子」
「は?あんただって女のくせに甘いもの見て可愛い〜とか言わないんだ?」
「え、越前くんが可愛いって…!」
「そこつっこまなくていいから」

あたしは少し笑いをこらえた。そう、どうやらあたしたち、甘いものが苦手らしい。いや、あたしの場合キライってわけじゃないんだけど、なんていうか…甘いもの食べ過ぎると気持ち悪くなっちゃうんだよね…

だけどあたしたちはそういう理由でケーキを食べないわけにはいかない。ここで今ケーキを食べなければ、この勝負は負けだ。越前くんに負けるなんてそんなことは絶対いやだ!

「…じゃああたしケーキ食べにいこっかな〜」
「!」

ふっ、どうだ。あたしは勝ち誇った顔を越前くんに見せつけた。あたしはさっさとケーキコーナーへと行き、皿いっぱいにケーキを盛るのであった

「俺も…なににしようかなー」

げっ、越前くん…!越前くんもあたしの隣でケーキを皿に大盛りに乗せ、これでもかというくらいあたしに見せつけた。ま、負けてられん…!

「さぁて、食べますか!」
「いただきまーす」

だけどその5分後、あたしたちの前にケーキの山が消えることはなかった


「…だめ、もう無理…」
「………逃げるの…?」
「じゃあ越前くん全部食べてよ…」
「それは…無理…」

ケーキの前に横たわるは屍二つ。あたしたちは完全にケーキに負けてしまった。こういうとき丸太さんがいてくれたらいいのに…

「勝負は、引き分けってことで…いいよね?」
「べつに…最初から勝負なんてした覚えないけど…」
「くっそー…焼肉バイキングならあたし勝てる自信あるんだけどなー」
「じゃあ次は焼肉、行く?」
「いいよ!受けて立とうじゃん!」

「あ……」
「なに…?」
「クリームついてる」

越前くんはあたしの頬についているクリームを指で取ると、そのまま口へ持ち運んで食べてしまった

「…!!」
「はあ、ごちそうさま。ほら、帰るよ」

「……ええっちょっと待って…!」

2011/07/08